「日常からの跳躍」〜横浜トリエンナーレ2005

横浜トリエンナーレ2005を観に行った。会場は山下埠頭の中の倉庫。今回のサブタイトルは、アートサーカス「日常からの跳躍」と名付けられていて、なるほど日常から少しだけ離れたところで世界を発見するような感じだった。

山下公園内の会場入口手前にそびえ立っているコンテナで出来た五角形のオブジェは、ルック・デルーの「スパイバンク」という作品。重量感のあるコンテナが頭上で躍っているようだった。


そして、入口付近で鑑賞者を出迎える紅白の三角旗の大群は、ダニエル・ビュランというフランスのアーチストによるもの。赤と白の2色に、空や海の青が加わって、フランスのトリコカラーをなすことまで計算済みなのだろう。


ここから先は、残念ながら撮影禁止。会場内には、奈良美智+grafによる「ミクストメディア」なる架空の部屋や、高松次郎の「工事現場の塀の影」、ミゲル・カルデロンが作ったトイレットペーパーによる「考える人」(これはなかなか笑えた)、屋代敏博による「回転回」などスケールの大きい斬新な作品が多数展示されていた。

休憩所としては、「バー・レクタム」と名付けられた、舌から食道、胃、腸と続くオブジェの内側でくつろいで飲み物を飲めるスペースがあったが、中を覗いたときにはお客さんは皆無だった。それよりも、ロコモコやプルコギ、グリーンカレーなどさまざまな国のちょっとした料理が楽しめる「屋台村」の方が人気を博していた。

それにしても、倉庫の中での展示というのは、なかなか雰囲気があってよかった。硬質でどこかひんやりとして静寂さをも感じさせる雰囲気は、大掛かりなオブジェの展示だけでなく、映像や写真を鑑賞するにも相応しい。また中華街を擁する街ということで、中国系アーチストの作品展示も多く、横浜という都市の懐の深さを実感した。

第1回の開催が2001年であり、「トリエンナーレ」と称するならば、本来は3年後の2004年に第2回が開かれているべきなのだが、今回は準備に時間がかかってしまって1年ずれ込んだということらしい。しかし、これだけ充実した内容になるのであれば、4年毎の開催であっても全く問題ないと思う。