『月刊アクトレスシリーズ』(これが正式名らしい)、いわゆる『月刊 シリーズ』(以下『月刊』と略す)がいつのまにか定価1,470円と大幅に値上がりしていた。遡って調べると前号の『月刊 山崎真実』からのようだ*1。
- 作者: 谷口尋彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/07/11
- メディア: ムック
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1998年に定価600円(税抜き)で創刊されたことを思うと、『月刊』はずいぶんと遠いところに来てしまったなと感じる。広告が3ページしか取れない体裁であるという事情はあるにせよ、創刊以来インフレだったというわけでもない*2ので、このタイミングでの値上げは、足元の売上の厳しさを想像させる。
では『月刊』は売れなくなったのか?
答えはたぶんYES。
なぜなら、魅力を失いつつあるから。
創刊当初こそ、意表を突く被写体選び、赤裸々な生い立ちインタビュー、個性的なフォトグラファーとシチュエーションへのこだわりなどが売りであった。内容的には、被写体と写真家のコラボレーションといった雰囲気を持っており、既存の写真集に対するオルタナティブ的な位置付けを担っていた。創刊号の『月刊 永作博美』などは、元アイドルというレッテルを剥ぎ取って彼女を人間的に裸にするようなインパクトのある内容で、いまだに高値で取引されている。
しかしながら、最近はそういう挑戦的なコンセプトはだいぶ薄まってしまっていた。シチュエーションにマンネリ化が目立ってきたのに加えて、写真の上にイラストや文字を大きくかぶせるなど過度のデザイン志向が鼻につくようになっていた。何よりも肝心の被写体の人選という点で、アクトレス=女優よりはグラビア系モデルが登場する頻度が高くなっている気がする。
いまや『月刊』はオルタナティブとしてのポジションを喪失し、安価なフツーの写真集に成り下がってしまっているように思う。ここに来ての大幅値上げは、存在意義を否定して自ら墓穴を掘る行為になるのではないか。そろそろカウントダウンかもしれない。
いよいよ休刊にでもなったら、バックナンバーに関する私的データベースでも作ろうかな。