東中野のみなづき書房が消えてる

今頃気付くなよ、という感もあるが、東中野銀座商店街にあった、この界隈で唯一のちゃんとした古書店「みなづき書房」がなくなっていた。いや、正確にいうと、相変らず古本屋はあるのだが、店頭には流行の韓国スターのポスターが掲げられ、看板の色はなんともけばけばしい原色になっている。これは「古書店」ではなく「ユーズド・ブック・ショップ」とも呼ぶべき店舗だ。

中に入ると、マンガの単行本が出版社別に綺麗に陳列されている。実に壮観な品揃えだ。だが、これなら、100mと離れていない山手通り沿いにあるブックオフ・東中野店とどこが違うのか? 電車で一駅隣の中野にあるまんだらけとどこが違うのか? 大手がやっているコンセプトの縮小コピーでは、この店もきっと長くないな、と直感した。

往年のみなづき書房は、オールジャンルでやっていて、個々のテーマで見るとそれほど品揃えの充実していた店というわけではなかったが、思想系や芸術系の本がそれなりに置いてあって、暇つぶしにはなった。夜も21時まで開いていたから仕事帰りに寄ることもできたし、「ユリイカ」や「現代思想」のバックナンバーがそこそこ揃っていたのも気に入っていた。

そういう古書店を求めるならば、中央線沿線では、阿佐ヶ谷・荻窪まで行かないといけないのだろうか。いや、むしろ、早稲田・高田馬場方面を開拓した方がいいのかもしれない。馴染みの店が消えるというのは、やっぱり寂しいし、ちょっと不便だ。