冬ごもり 思ひかけぬを―京都五日目

大好きな場所にいるときには、誰にも、何にも邪魔されたくない。自分が自分になる時間。精密すぎるスケジュールも、ときとして妨げになる。何もしない贅沢もたまにはいいじゃないかと思う。

叡山電車で駒井家住宅へ。柔らかい光が差し込む眺めのよい場所。GHQに接収された時期もあったようだが、駒井夫妻亡き後、いまこの建物が残っていることを奇跡だと思う。


(PHOTO:シャープ、CAMERA:Leica X1

北白川を散策。誰もいない。ここで僕は一人の余所者に過ぎない。


(PHOTO:シャープ、CAMERA:OLYMPUS XZ-1)

吉田山荘真古館でお茶を頂く。抹茶とお福もち。女将の直筆の和歌が付いてくるのが洒落ている。「つらゆき」の次だけはかろうじて読める。

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冬ごもり 思ひかけぬを 木の間より 花と見るまで 雪ぞ降りける
紀貫之

なるほど。去りゆく秋を嘆くのではなく、冬の美しさを楽しむようにしよう。

のんびり歩いて、法然院へ。京都で一番好きなお寺。ここにいる時間は自分だけのものにしたい。


(PHOTO:シャープ、CAMERA:OLYMPUS XZ-1)

銀閣寺へ。去年は金閣に行ったから、今年は銀閣でというわけではないけれども、何となく両方見たくなる。ここは修学旅行生にも外国人観光客にも大人気。ということで、微笑ましい国際交流の光景が繰り広げられていた。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:OLYMPUS XZ-1、アートフィルター「ファンタジックフォーカス」使用)

ランチのことは忘れて、六盛茶庭でスフレを頂く。休日だと1時間待ちのようだが、今日はすぐに入れた。でも、注文してから焼くので、時間がかかることに変わりはない。だが、そういう待ち時間も楽しみのうち。さて、待つこと25分。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:Leica X1

本当に口の中に入れた瞬間から溶け始めるデリケートさ。これは待ったかいがあった。至福のとき。お隣のLa Voiture(ラ・ヴァチュール)のタルトタタンも美味しかったけれども、どちらかを選ぶとすれば、迷った末にスフレを選ぶだろう。でも、お店の居心地の良さは、La Voitureの方がいいかもしれない(混んでいる店は長居しにくいこともあるし)。

まだ明るいので、岡崎から寺町二条エリアを散策。この辺はカフェだけでなく、ギャラリーや書店が多くてたまらない。建築関係に特化した大龍堂書店、哲学・思想・サブカルセレクトショップのような三月書房に入る。まるで図書館の一角のようだ。

寺町二条をぶらぶら歩くのは楽しい。torinoutaとか特に良かった。誰も中に居なかったけど。

(PHOTO:シャープ、CAMERA:Leica X1

村上開新堂でロシアンクッキーを一つ買う。散歩しながら食べるのも楽しい。
京都最後の夜。かといって、ことさら夜更ししたりはしない。明日、行きたいところもあるので。

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