少女歌劇団ミモザーヌ夏公演「Traveling Summer」@大田区民プラザ

第4期生を迎え、いまもりまなかを新団長とする新体制でのお披露目となった「Traveling Summer」の東京公演を見に行った。


第一幕

1. Welcome Review

幕が上がってステージにライトが上がるとペアでダンスを踊るところでメンバーが一人足りないのに気付かされる。

だが、メンバーの顔には動揺の色は全くなく、堂々としていて、フォーメーションに少しの乱れもない。

歌と踊りと芝居と、それら全てが華麗な音楽に乗って、そして豪華絢爛な衣装を纏って、見るものに迫ってくる。

夢の世界に引き込まれる。

2. ストレンジャー

たかはしまお、ちばひなの、ひろせしずくの3人の歌割、台詞回し、そしてダンスフォーメーションが美しい調和を見せてくれる。

楽曲としては大人っぽくて少しセクシーな雰囲気だけれども、この3人が演じると根底に清楚な清潔感が感じられて、「少女歌劇」を観てるのだと実感できる。

3.希望という名の旅へ

貧しい少年少女を演じるすずきみあいといわむらゆきねは息もぴったり合っていて、まるで本当に昔からずっとNYのハーレムで一緒に育ってきたように見える。

現実から空想の旅へと誘う演技も素晴らしく、とても自然に「世界旅行」に誘ってくれる。

4. Take a "A" train

スタンダードなジャズナンバーだが、いまもりまなかのボーカルが高揚感を掻き立てる。

一緒に踊るメンバーは、NYハーレムの裏通りからメインストリートの華やかさを感じさせ、オールディーズ風の衣装も相まって「古き良きアメリカ」を思い出させてくれる。

5. ボン・ボヤージュ

そして大西洋を横断する船の旅へ。

優雅に着飾った貴婦人たちの中で、セーラールックで登場するたなかあかりの軸のブレない連続ターンが印象的。

ミモザーヌメンバーは全員が基礎がしっかりしているけれども、それぞれが個性を発揮する中でまた新しい「飛び道具」を見る思い。

6. エスペラ・フラメンコ

赤と黒の衣装は紛れもなくスペインの香り。

冒頭のアカペラでのポリリズムでは「遊び」も感じさせるが、伴奏が加わってからは限りない情熱を感じさせる熱いパフォーマンス。

いまもりまなかの男装に見惚れ、ちばひなのの美しさに目を奪われ、みやはらにこのアクロバットに驚かされる。

個人的には第一部の「旅」のハイライト。

7.愛するナポリタン

夜のイタリアの窓辺で恋人を想うようなカンツォーネを、赤い衣装に身を包んだたかはしまおが聴かせる。

パンフレットには他に数名のメンバーの名前も載っていたが、公演直前に演出が変更されたのだろうか。

そんな舞台裏を微塵も感じさせない堂々としたソロだった。

8.パリの雨

ひときわおしゃれな雰囲気のフランスへ。

5人のメンバーが、タイミングを合わせてアンブレラをくるくる回転させたり、畳んでステッキのように振り回したり、細やかなダンスが楽しめる。

ともだりのあの朗らかな笑顔と、包容力のある歌声に癒される。

9. アブダカダブラ

旅はヨーロッパを離れて中東へ。

アラビアンな衣装とエキゾチックな楽曲、アイソレーションを取り入れたダンス。

こういう美しいダンスを見ると、徹底的に基礎ができているからこそ、と実感する。

10. 夜来香

旅の終わりは中国。いまもりまなかの日本語と中国語のソロボーカルが、幻想的な桃源郷を感じさせるような素晴らしさ。

左右を固めるともだりのあとひろせしずくのコンビも、「理想的で完璧なフォーメーション」に見える。

11. 希望の光は/明るい未来

空想の旅は終わるが、現実の世界にもささやかな幸せが訪れる。

「希望を失わないことが大事」だと気付かされる。

すずきみあいといわむらゆきねの掛け合い、二重唱はここでクライマックスに達して、観客としてこの舞台を見ている私自身もまた、この「空想の旅によって心豊かになった」のだ。

第二幕

12. とらとら

学業優先のためお休みしているいわなみゆうかの代役を務めたを埋めたさかもとりるは。

天真爛漫で曇りのない笑顔の持ち主で、これはこれでアリ。周りを固める一期生のツッコミにも動じないところもアリ。

とらとらに続いては、吉本芸人とのバラエティコーナーで、東京では昼が横澤夏子、夜がオズワルド。

横澤夏子はメンバーへの気配りの感じられる優しい人柄が偲ばれて温かい雰囲気が作られ、オズワルドはいつものシュール寄りな芸風を貫いていて爆笑を呼んでいた。

13. 情熱フラミンゴ

エモーショナルな楽曲に、片足ポーズのハードなダンス、そして情熱を表現した衣装。


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ちばひなののセンターだが、どのメンバーのダンスからも目が離せない気持ちで、もっと目があれば・・・という思い。

14. 夕陽に笑うシマウマ

楽観的に生きていこうというメッセージの楽曲。笑顔が印象的なすずきゆいセンターで魅せてくれる。

15. 夏のペンギン

今年3月に加入した4期生の5人が総出演。


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フレッシュを凝縮したようなパフォーマンス。

16. 愛の速度

津軽三味線の北村姉妹をゲストに迎えた生演奏。


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今日はメンバー一人を欠いた状態だったが、それを感じさせない気迫のボーカルとダンス。

生演奏とのコラボは最高。

17. おてもやん

これも北村姉妹の生演奏の津軽三味線に乗せて、浴衣で登場するメンバーが日本舞踊を舞う。

まさに和の美しさ。

そして美しく踊りながら民謡をさらっと歌いこなすいわむらゆきねの実力。

18. 20THセンチュリー・クリームソーダ

昭和な世界観に迷い込んだ令和ガールズ。

ともだりのあ、ちばひなの、ひろせしづくという、1期・2期・3期横断のユニットは、昭和のアイドルユニットのよう。

中でも、ともだりのあのボーカルは、伸びやかに温かみを感じさせてくれて、唯一無二だと改めて思わされる。

19. 今宵リバーサイドで

癒しの空気感から180度転換し、クールなソウルファンク系のダンスナンバー。

すずきみあいのリードに、キレッキレのダンス選抜ナンバーのダンス。

ミモザーヌの「少女歌劇」の中でも、最も尖ったナンバー。

何度も見たくなるくらい中毒性がある。

20. SUN Flower

大団円に向かうバラード。


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いまもりまなか、いわむらゆきね、たかはしまお、ともだりのあの4人のボーカルの安定感と説得力。

特にたかはしまおの澄んだハイトーンの美しさに心が洗われるよう。

21. Shine

「輝く」というタイトルのこの楽曲は、あのタケカワユキヒデからの提供。

メンバー全員が登場し、ステージに並ぶ姿は、天使の降臨のようと思え、その清い歌声に何もかもが浄化していくよう。

ミモザーヌの舞台もこれでグランドフィナーレ。

この旅が、この夢がいつまでも続けばいいのに・・・と願っていても、これが最後の曲だと思うと寂しさも込み上げてくる。

アンコール

22. Lover, come back to me

アンコールを求める拍手に応じるように登場するメンバー。

ジャズのスウィングに乗せたボーカルに、会場のクラップが重なって一体感が高まる。

23. リンゴの木の下で

アンコール2曲目もスタンダードなナンバー。

一部でNYハーレムの少女が「リンゴの木を植える」と将来の夢を語ったのを受け取るような形での「リンゴの木の下で」。

そこには夢があり、希望があり、絆がある。

この時間を共有できることで豊かさをも感じられる。

24. ミモザのように

アンコールの最後は団歌の「ミモザのように」。

従来のアレンジが、まさにミモザのようにつつましくて可憐な感じとすれば、今回はアレンジにストリングが加わってより壮大な雰囲気に変わっていた。

このメンバーの数、舞台の大きさを考えると、このアレンジ変更は効果的だなと思う。


この東京公演が千秋楽ということもあり、カーテンコールでは観客はスタンディングオベーションを送り、夜の部ではメンバーもそれに応える形で、スペシャル感あるアドリブを見せてくれた。

最後の幕が降りて、照明がついて、アナウンスがあり、引き戻された。

そして、満足感と余韻を感じながら、帰路へ・・・



個々のスキルが高くなり、メンバーの層が厚くなり、パフォーマンスとして幅が広がったミモザーヌ。

次回の定期公演は年末年始になるだろうけれども、この10月から月一ライブが始まるとアナウンスされた。

初回は10月30日、大阪で。

ミモザーヌが見せてくれるステージは、他では決して見ることができない類のものなので、観覧の機会が増えるのは手放しでありがたい。

この先もミモザーヌを応援していきたい。

おまけ。

大阪・東京の四公演を全通して特典のトートバッグをゲットした。

W-KEYAKI FES. 2022(最終日、櫻坂46)@富士急ハイランドコニファーフォレスト

7月に4 daysで開催予定だったW-KEYAKI FES. 2022。

開催直前に櫻坂46のメンバーで新型コロナ陽性者が出たため、櫻坂46出演の日程はキャンセルされると発表された。

ところが、キャンセルではなく日程変更での開催を望むファンの声が多かったこともあってか、8月に日程を延期して開催されることに。

そして、最終日は、予定されていた通り、原田葵と尾関梨香の卒業セレモニーも開催される運びとなった。

欅坂46の一期生から7年間活動してきた二人の最後の公演とあって、欅坂時代のレアな楽曲を惜しまず披露。

二人のリクエスト曲としてユニット曲の「コンセントレーション」「カレイドスコープ」、そしてアンコールでは「音楽室に片想い」「バスルームトラベル」「バレエと少年」。

純白のドレスに身を包んだ原田葵、真紅のドレスをまとった尾関梨香、いずれも眩しいくらい綺麗で晴れがましい笑顔だった。

メンバー一人一人からの花向けの言葉も長い時間の重みと強い絆を感じさせるもので、二人の前途が明るいものになることを信じる。

個人的には最新の櫻坂46の魅力が爆発している「制服の人魚」と「摩擦係数」を聞きたかったが、全体の構成の兼ね合いでそれは叶わず。そんな中で「流れ弾」のVJを活用した演出、そこからの「BAN」が個人的ハイライト。

今日聴けなかった曲はツアーの東京ドームに期待することにしたい。

少女歌劇団ミモザーヌ夏公演「Traveling Summer」@東大阪市文化創造館

前回の冬公演できくたまことが卒団した少女歌劇団ミモザーヌ。

第4期生を迎え、いまもりまなかを新団長とする新体制でのお披露目となった「Traveling Summer」の大阪公演。

結論からいうと、想像を超えるレベルアップを見せてくれるものだった。


第一幕

1. Welcome Review

これまでのミモザーヌのオープニングは、特別感はありながらも、どこか手作り感というか小劇場的なこじんまりとした雰囲気があり、それはそれで親しみやすさや距離の近さを感じさせてくれた。

しかし今回は違う。

豪華絢爛。

圧倒されるような迫力。

まるで宝塚のレビューのような華やかさ。

さまざまな衣装に身を包んだメンバーがステージに次から次へと登場し、息つく暇もないほど。

クライマックには眩しいスポットを浴びていまもりまなかとともだりのあが並んで階段から降りてくる。

まるで宝塚のように。

非日常に世界に一気に引き込まれる。

2. ストレンジャー

真っ赤なスパンコールのワンピースで登場する3人のメンバーが繰り出すジャズナンバー。

「これからショウが始まる」という高揚感を高めてくれる。

ボーカルの要になるのはたかはしまお。

そして美しさに磨きのかかったちばひなの。

3期生からの大抜擢ひろせしずく。

ひろせしずくはこの半年で背も足もぐっと伸びたような印象だが、何よりふっと大人っぽい表情を見せるようになったのに驚かされる。

3.希望という名の旅へ

物語はニューヨークの裏通りから始まる。

貧しい少年と少女が食べものを探す場面。

きっと当て書きであろう少年ビリーを演じるすずきみあい、そして少女アリエルを演じるいわむらゆきね。

「少女歌劇」というよりも、本格ミュージカルを見ているかのような抜群の演技力に引き込まれる。

そして、お腹を空かせた二人は、パンではなく空想の旅で自らを見たそうとするという絶妙の導入で「世界旅行」へ。

4. Take a "A" train

スタンダードなジャズのナンバーだが、完全にミモザーヌ色で染められている。

NYの裏通りの少年少女の空想は、少しずつ華やかな色をまとい、豊かな音楽で彩られて形になっていく。

楽しく踊って、賑やかに歌って、旅の前の高揚感がクライマックスに達する。

大勢のメンバーが出演するナンバーだが、驚いたのは個々のメンバーが存在感を増していること。

特に一期生のいしばしゆあ、たかやあんなの堂々としたパフォーマンスに目を奪われる。

誰も「バックダンサー」はいなくて、みんな一人一人が主役のような輝き。

そんな輝きを放つまでに全員が成長したミモザーヌメンバーを見ることは驚きでもあった。

5. ボン・ボヤージュ

旅はアメリカ西海岸の港から大西洋に向かっていく。

舞台を二階建てにしたことで演出の幅がぐっと広がっていて、前景ではNYの少年少女二人が夢見ている、その後ろの二階で夢の中の景色を少しずつ姿を現していく。

大西洋を横断する豪華客船だろうか。

大きな帽子やスカーフを身にまとった乗船客たち。

素敵なレディたちの中で、ウェルカムドリンクを勧めにくる水兵スタイルのたなかあかり。

バレリーナのような連続ターンを見事に決めていて、また彼女の新しい魅力に気付かされる。

3期生もすっかり舞台で存在感を示すようになっていて感動。

6. エスペラ・フラメンコ

大西洋を横断して、欧州の旅はまずスペインから。

黒ずくめのクールなスーツで男装したいまもりまなかをセンターにして、情熱的な真っ赤なドレスの女性陣が囲むようにして踊るフラメンコ。

リズムも本格的なポリリズム変拍子で、こんな難しい拍を揃ってしかもエモーショナルに演じる姿に圧倒される。

なかでも、ちばひなのの身につけているタイトなワンピースが彼女の美しいボディラインを浮かび上がらせる。

去年はまだ幼さを残していた彼女が、今はすっかり「美人」の域に達しているのを目の当たりにして、つくづく少女の成長は早いと実感させられる。

クロバットを武器にしたみやはらにこのパフォーマンスも楽しめ、今回の公演での目玉の一つ。

7.愛するナポリタン

お次はイタリアへ渡り、カンツォーネ要素が入った遊び心のある歌詞のポップスへ。

たかはしまおの歌唱力、表現力を軸にして、恋多きイタリアの人々の日常をも感じさせる一曲。

国境を越えると、曲も、衣装も、メンバーも変わって、本当に旅をしているよう。

8.パリの雨

そして今度はフランスへ。

アンブレラを使った演出は、まるでミュージカルのように華やかで、そして粋。

雨に濡れても楽しさを見つけられる。

そして雨が止んだ後の喜びを感じられる。

前回はかわいい猫を演じていたともだりのあだったが、今回は雨上がりの路地に猫を見つける演技で、そこにはいないはずの猫の姿をしっかりと感じさせてくれる。

ともだりのあの表現力はさらに磨きがかかっていて、まるでミュージカル映画のワンシーンを見るよう。

9. アブダカダブラ

NYの少年少女の二人による台詞を挟み、旅路はヨーロッパから中東へと進んでいく。

これまでの公演でも披露されてきた「アブダカダブラ」。

ボーカルの主軸となるたかはしまお、アイソレーションが切れ味のあるちばひなの。

そしていしばしゆあ、たかやあんならの1期生に混じって俄然存在感を見せたのが、ショートカットにしたあんどうはな。

シュッとした立ち姿が美しく、ステージで映える存在になっていた。

10. 夜来香

旅の終わりは中国。おそらくは香港。

艶やかなチャイナドレスに身を包んだいまもりまなかが、ジャズアレンジの演奏に乗せて、日本語と中国語を駆使して堂々と歌う。

まるで幻想の中の舞台のような夢見心地。

その夢見心地な気分をさらに掻き立てるのが、左右で美しく舞うともだりのあとひろせしずくのペア。

チャイナ風味のあるモノトーンの衣装で二人のプロポーションの美しさが引き立つ。

こんな旅の時間がいつまでも続いてくれればいいのに・・・と思う。

11. 希望の光は/明るい未来

旅は終わり、ビリーとアリエルの二人は現実に戻ってくる。

お腹は満たされなくとも、心は豊かになり、将来への希望が持てるようになる。

と、ここで終わらないのがこの物語の素敵なところ。

想像していなかったサプライズが、二人に幸せを運んでくる。

すずきみあいといわむらゆきねのダンス、そして二重唱は、この第一幕のクライマックスに相応しい高い次元に達していて、思わず泣きそうになる。

「少女歌劇団」という言葉からは想像できないようなプロのエンタメ。

拍手喝采の中、幕が降りて、見るものは余韻を味わいながら現実の中に引き戻される。

第二幕

12. とらとら

幕間のざわざわした空気から再び舞台と客席に一体感をもたらすのがこの「とらとら」。

前回まではいわなみゆうかの予測不能なユニークなキャラクターの個人芸的な色が強かったが、今回、彼女の不在を埋めたのは3期生のさかもとりるは。

おっとりした癒し系の雰囲気が強いと思っていた彼女だったが、太陽のような明るさが想像以上にとらとらに合っていた。

とらとらに続いては、吉本芸人とのバラエティコーナーで、大阪では昼がミルクボーイ、夜がアキナとの企画。

このコーナーでもメンバーの反射神経やお笑いセンスの向上が感じされて楽しいものになっていた。

13. 情熱フラミンゴ

個人的に大好きなナンバーの一つで、エモーショナルな楽曲に、片足ポーズのハードなダンス、そして情熱を表現した衣装が見所。


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今回は成長著しいちばひなのがセンターを務め、クールなパフォーマンスでまた新しい魅力を見せてくれた。

14. 夕陽に笑うシマウマ

動物シリーズの定番になってきた感のある「夕陽に笑うシマウマ」。

悩み事も吹き飛ぶような明るさを感じさせてくれるナンバー。

今回はすずきゆいが主軸となってその明るさを引っ張り、しものあやめやたぐちえみるが明るさを増幅していっているように見えた。

こうやって1期生がリードし、2期生がそれを受け取ってさらに発展させる。

そんなミモザーヌのメンバー間の交流が見えるような気がした。

15. 夏のペンギン

2期生みやはらにこ、3期生たなかあかりがリードし、今年3月に加入した4期生の5人が総出演。


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ライブアイドルのような楽曲で思わずコールを入れたくなる。

そして、なんと初々しいペンギン。

キャップのつばをくちばしに見立て、黒のジャケットの裾を尻尾に見立てる。

心が洗われるナンバーだが、しっかりと揃ったダンスあってこそ。

楽しそうな笑顔の裏で、4期生もハードな体幹レーニングを頑張っていることが窺える。

16. 愛の速度

津軽三味線の北村姉妹をゲストに迎え、コラボで「愛の速度」。

これは生演奏に肉薄するくらいの迫力、そしてライブ感。

この楽曲はアップテンポで、ダンスもこれ以上ないというくらいにキレッキレ。

サクラ大戦を知っている人には、これこそが令和のサクラ大戦だと伝えたい。

知らない人には、とにかく見て!とおすすめしたい。


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これは第一部の目玉が「エスペラ・フラメンコ」のフラメンコとすると、第二部の目玉がこれ。

いや、夏公演を通じて一番エモーショナルだと言えるかもしれない。

17. おてもやん

熊本県民謡のあの「おてもやん」。

パンフレットで曲名を見て「これは箸休め曲かな」と思ったが、全然そうではなかった。

北村姉妹の生演奏の津軽三味線に乗せて、浴衣で登場するメンバーが日本舞踊を舞う。

その美しいこと。

着物を崩さず、それでいて女性らしい艶やかさやかわいらしさを全面に出して魅了する。

いわむらゆきねのリードする民謡歌唱も堂に入っていて、まるで夏祭りのよう。

あんどうはな、しろみゆ、いでいゆき、さかもとりるは、それぞれも日本女性の美しさをそれぞれの個性で表現していて、全然箸休めどころではなく、もっとじっくり見たいという気持ちになった。

18. 20THセンチュリー・クリームソーダ

第一部がアメリカからユーラシアへの世界旅行なら、第二部はさながら日本の古今をめぐる時間旅行のよう。

この曲は昭和アイドル歌謡をオマージュしたような懐かしい楽曲世界に、令和ガールズの視点で新鮮さを感じるというもの。

ともだりのあセンターに、ちばひなの、ひろせしづくという、1期・2期・3期ユニット。

この辺の主力メンバーになるともはや期の違いは超えてくるという感じ。

それぞれの私服風の衣装も古き良き昭和を思い出させてくれてとてもよかった。

19. 今宵リバーサイドで

そろそろすずきみあいがリードを取るエモいダンスナンバーが見たい、と思っていた頃にドロップされる新曲。

ソウルフルな彼女のボーカルに、ストリートのパワーを感じさせるダンス。

メンバーはオーディションで選ばれた選抜メンバーでいしばしゆあ、たかやあんな、すずきゆい、もうりさくらといった1期生の精鋭に、みやはらにこ、しものあやめの2期生が加わる。

しものあやめは結構おもしろキャラっぽい雰囲気を見せてくれることが多いけれども、このナンバーでダンスの実力を改めて見る思い。

20. SUN Flower

新型コロナウィルスのせいでここ1、2年は思うような活動ができなかったこともあったろうミモザーヌ。

それは彼女たちだけではなく、エンタメ界全般にも言えることであるし、もっと言えば社会全体も同じような雲に包まれていると言える。

そんな雲の下で気分が滅入る日もあるけれども、明るい方を見て希望を失わずにいればいつかきっと・・・という思いが感じられるバラード。

いまもりまなか、いわむらゆきね、たかはしまお、ともだりのあの4人による凝縮されたパフォーマンスが胸を打つ。


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特にたかはしまおのボーカル。

高域まで気持ちよく伸びて、高域になるほど透明になるという奇跡の歌声。

これを聞くと公演もいよいよクライマックスという気分になる。

21. Shine

最後の曲はShine。

「輝く」という意味のこの楽曲の作曲は、なんとタケカワユキヒデ

作曲者の名前で曲の感想が変わるわけではないけれども、ゴダイゴを聞いて育ち、「天てれ」で少年少女が名曲をカバーする魅力を知った世代からすると、やはりタケカワユキヒデの名前は感慨ひとしお。

希望を感じる壮大な楽曲は、たかはしまお、いまもりまなか、すずきみあいの3人を主軸に全員が歌い、公演はフィナーレを迎える。

このあと、アンコールもあるが、これから東京公演を見るひとのためにネタバレせずに書かずにおこう。




前回の公演からすると、メンバー個々の成長が著しく、チームとしても「次のレベル」に到達している感がありあり。

特に、4期生が入ってまだ半年足らずという中で、新メンバーを育てながらも全体のレベルを引き上げて、フラメンコや日舞などの新しいことにも挑戦し、それを成功させるというのは並大抵ではできないと思う。

チーム作りの理想ではあるけれども、なかなかうまくいっている例を見たことがないので、正直いって驚かされた。


次回の公演は8月23日(火)の東京。大田区民プラザ。

次回といっても、今回の夏公演はこれが見納めになる。

これほどのクオリティの公演をしている少女歌劇団を他に知らない。

わざわざ大阪まで足を運ぶのは僕のようなコアな層(なんだそれ)だけかもしれないけれども、東京で見られるこの機会はぜひ多くの人にお勧めしたい。

絶対に後悔しないですから。