ローマ法王をめぐる報道と『ゴッドファーザーPARTIII』

ローマ法王の容態がよくない。NHKの19時のニュースでは、仙台の暴走トラック事件に次ぐ2番目の扱いとなった。が、欧州や米国ならともかく、キリスト教徒の割合が大きいとはいえないこの日本で、代表的メディアがここまで大きな扱いをするのに違和感を感じる*1。先週の復活祭はニュースの時間枠ではおそらく何も取り上げなかっただろうに。

日本のメディアは、欧米の報道を参考にすることで政治的、宗教的にバイアスがかかってしまうことに無自覚すぎるように思う。たとえBBCやCNNのようなところであっても、いや、そういうところほど参考にすることでむしろ罠にはまることがあるというのが、今回のイラク攻撃をめぐる一連の報道における教訓だったはずだ。

別に、ここでわざわざE・サイードを引き合いに出すつもりはないけれど

しかし、NHKが先のイラク戦争の報道で政治的には慎重なスタンスを見せていたのを覚えているだけに、今回のローマ法王の容態の悪化についての報道の大きさには驚きすら感じた。いわゆる国家間の国際政治には敏感であっても、宗教には鈍感なのだろうか。宗教組織というのは、いや、宗教それ自体が、十分に「政治的」な存在なのであるが…

もしかしたら、今回の報道には何らの政治・宗教色はない、法王の交代というそれ自体にニュース性があるという反論が報道の側からあるのかもしれないが、キリスト教信者にインタビューして敬虔な祈りの言葉を引き出す画面の連続を見ていると、NHKのスタンスがそこにあるとも思えない。彼らには、『ゴッドファーザーPARTIII』で描いて物議をかもしたような「バチカンの内部」という興味の観点すらないのだろう。まったくなんとも無邪気なものだ。

ゴッドファーザー PART III [DVD]

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しかし、ヤクザについて考察した翌日のネタがゴッドファーザーとは、ずいぶん偏ったブログだな、ここ。笑

*1:個人的に「反キリスト」でもなんでもないので誤解なきよう