この断末魔は確かに文学~『パーティーが終わって、中年が始まる』(pha)

最近あちこちで感想を見かける『パーティーが終わって、中年が始まる』(pha)を一気読み。

なるほど、読みやすい。

そして、具体的な体験に基づいている。

私自身は自分の青春時代~青年期を「パーティ」と思ったことはなかった。

でも、著者はずっとシェアハウスで暮らしてきて、そこで大勢の人と交流してきたわけで。

いかにもパーティ的。

そして、いまはそのシェアハウス暮らしをやめて一人暮らし。

そうね、まさに「中年が始まる」というフレーズが大げさではないくらいのモードチェンジ。

孤独と喪失感。

個人差はあるだろうが、ここで淡々と描かれていることは、40代で多くの人が経験するミッドエイジクライシス(中年の危機)で直面する喪失感。

そういう意味では、個人的な体験に基づくエッセイではあるが、多くの人が共感できる普遍性も内包している。

ここからさらに10年経つと、きっと大半の人はさらにモードチェンジして終活モードに移行していくと思われる。

その前の最後の悪あがきというか断末魔がここにある。

切なくも美しい文学。