コロナ禍で一時は閉じていた歌舞伎座だが、対策を講じた上で、8月から公演が再開された。
今回、中村獅童の『義経千本桜 川連法眼館』が演じられるということで、久しぶりに足を運んできた。
前回『義経千本桜』を観たのは、2009年。
今の「五代目歌舞伎座」に建て替わる前だった。
あれから11年。
コロナ対策で、演目ごとのアラカルト販売、完全入れ替えとなった歌舞伎座。
『義経千本桜』は第4部、本日最後である。
客席はひとつおきで、A席は桟敷を含めてほぼ完売、B席はまばらという感じ。
この話の主人公とも言える佐藤忠信を演じる中村獅童は舞台で圧倒的な存在感。
人間の時とと狐の時では、放っているオーラも全然違うように見える。
狐の時の飛び回る様子の凄いこと。
また舞台装置、演出と合わせての、姿くらまし、姿現しも素晴らしい。
残念がら「よろず屋!」のかけ声は禁止されているので、代わりに何度も全力で拍手を送った。
そして若手の抜擢。
香川照之の息子の市川團子との共演を果たす格好となり、若い世代のこれからの活躍が楽しみ。
拍子木にせよ、唄にせよ、セリフにせよ、生ならではの空気感を味わえる。
そして、歌舞伎の場合は、「花道」でのパフォーマンスもあり、やはり劇場で臨場感を持って味わえる体験は何物にも代えがたい。
従来の上演形態や、ミュージカルを見慣れた身体には、1時間10分くらいというこの演目切り売りは「もっと観たい」と思ってしまうが、軽い気持ちでさらっと見るには今の形態も悪くないのかもしれない。
夏以降、コロナ対策を講じたライブエンタメが次々と復活しているが、個人的には歌舞伎やミュージカルに関しては、興行を支援する気持ちでもっと観にいく機会を増やしたいと思う。