ハコイリ♡ムスメ 我妻桃実 卒業公演~君はアンブレラ・エンジェル~

一つの時代が終わった。

いや、ハコムスの真の「第一章」が終わった、というべきであろう。


2014年7月に7人組のアイドルグループとして結成されたハコイリ♡ムスメ。

メンバーが加入と卒業と繰り返す中、最後のオリジナルメンバー”ぽにょ”こと我妻桃実が、ハコイリ♡ムスメを卒業した。


彼女の卒業については、発表になった6月に想いを綴るブログをエントリーした。

sharp.hatenablog.com

あれから3ヶ月。

沖縄での写真集撮影、虎ノ門ニッショーホールでのセカンドコンサート、夏フェスなどなど、たくさんを想い出を重ねて、今日の卒業公演を迎えた。

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ミントグリーンにピンクをあしらった衣装、頭には「青い鳥」の止まった花冠。

卒業公演にありがちな、背伸びしたような大人っぽさもなく、逆に不釣り合いのような子どもっぽさもない。

「癒しと安らぎとときめき」というハコイリ♡ムスメのコンセプトを体現したような出で立ち。

公演は、ショートフィルムではなく、我妻桃実・吉田万葉・戸羽望実の3人によるバレエ風のOvertureで始まった。

そして、新人公演の最初の曲としておなじみの「君の歌、僕の歌」で8人のハコムスが揃う。

眩しい。

その輝きの中心にぽにょがいる。

自己紹介の後は、ハコムスの歴史をダイジェストするかのようにオリジナル曲を続ける。

最初のオリジナル曲「微笑みと春のワンピース」から、森組の「レモネード・キッス」、PENGUIN DISC最初のシングル「ハコいっぱいのプレゼント」、そして新リーダー・サブリーダーの吉田万葉・井上姫月が加入して最初のオリジナル曲「乙女はびっくり箱」。


そう。


この公演は、最後のオリジナルメンバー我妻桃実の集大成であるとともに、ハコイリ♡ムスメ第一章の集大成でもある。


ハコムスの持ち味とも言える「切なさ」をたたえた「眩しくて」「真夏の恋のファンファーレ」「泣かないでエンジェル」の泣かせブロック。

今のハコムスには「失恋の女王」とか「歌姫」と呼ばれるメンバーはいないけれども、今のハコムスは曲想に応じた表現をチームとして見せてくれる。聴かせてくれる。

沖縄での撮影・合宿を経て先日リリースされたファースト写真集『ニライカナイ』。

時をほぼ同じくしてリリースされた最新のオリジナル曲は、我妻の命名により『ニライカナイを目指して』と名付けられた。

荒波を乗り越えて冒険の旅に繰り出すというこの曲は、まさに新時代とも言える「第二章」を切り開いていくテーマソング。


ミュージカルっぽい演出も見られるこの曲は、新リーダーとなった吉田万葉にむしろぴったりとハマる曲のような気がする。

ここでセトリに組み込んだのは、卒業していく我妻桃実から、後継者となる「チーム吉田」に対するエールとして送られたということかもしれない。

後半に入り、ライブはソロ曲・ユニット曲へ。

鉄戸美桜のイメージの強かった「AXIA〜かなしいことり」のソロは、今はダンスや表情を含めて、独自の境地に達している。

続く「お引っ越し」は、Qlairワールド全開の三声ハモりの難曲。かつてはオリジナルメンバーの「お姉さん組」のものだったが、これを我妻・吉田・井上の3人が美しいハーモニーを響かせる。

受け継ぐもの。

受け継がれるもの。

ハコイリ♡ムスメの「DNA」、ハコイリ♡ムスメの「魂」、「ハコムスイズム」とでも呼ぶべきものは、こうやって受け継がれて行くのかと目を見張る。

そして、暗転したステージの真ん中に椅子が運び込まれる。

このフォーメーションは・・・!

「星座占いで瞳を閉じて」のイントロが流れ、そこで登場したのは、卒業生の神岡実希。

かつて「スターチス・モモミーキ」というユニットで毎回毎回聴かされたこの曲。

まさか今日聴けるとは!

そう言えば、神岡の卒業公演で「ぽにょが卒業するときには来るから。星座占い歌うから」と言ってたことを思い出した。

サプライズはこれだけで終わらない。

舞台袖から、門前亜里・鉄戸美桜が登場。

ハコイリ♡ムスメのオリジナルメンバーが大集結。

これがハコイリ♡ムスメ第一章の集大成。

「歴代メンバー勢揃い」とまではならなかったけれども、『アベンジャーズ」の映画で次々にヒーロー・ヒロインが出て来るのと同じような興奮を味わった。

ここで今日のクライマックス。

現メンバーからのお手紙と我妻からの挨拶。

かける言葉の一つ一つに重みがあって、しかもしっかりと相手を見ていないと言えないようなものばかり。

その姿は、まだ19歳とはとても思えない。

リーダーとか、コーチとか、そんな単純な言葉だけで片付けらないような「人間力」を目の当たりにした。

ライブの最後は「なかよし」から「旅をつなげて」と、ハコムスの鉄板曲の連打。

卒業公演にありがちな「湿っぽさ」は少しもなく、「ハコムスっていいグループだな」「ぽにょっていいアイドルだな」という感想しか浮かばないほど。

アンコールでは、「Be My Diamond!」を歌い上げ、「Let‘s Party Time!」で大団円感ある盛り上がりを見せて、これで終わりかと思わせる。

が、「今日のタイトルなんだっけ?」「・・・君はアンブレラ・エンジェル」「今日歌ったっけ?」「歌ってない!」というフリの後、最後に「アンブレラ・エンジェル」。


ハコイリ♡ムスメの最年少だった我妻にとってひときわ思い入れのある曲であるとともに、ファンにとっても我妻と分かちがたく結びついている曲でもある。

ハコイリ♡ムスメとしてアイドルを始めて5年。

大変なことも、辛いこともきっとあったに違いないが、ひねくれもせず、擦れもせず、こじらせもせず、純粋な少女の輝きをさらに増しながら活動を続けてきた我妻桃実

「僕だけの天使」という世界観を最後まで見せ続けてくれたのは、ある意味で奇跡的なことだと思う。

ハコイリ♡ムスメの第一章は、そんな天使の姿をファンの記憶に焼き付けて終わった。


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ありがとう、ぽにょ。

この先、ますます活躍することを信じて疑わない。

そんな姿を見るのを楽しみにしている。


(セットリスト)

0 Overture
1 君の歌、僕の歌
MC
2 微笑みと春のワンピース
3 レモネード・キッス
4 ハコいっぱいのプレゼント
5 乙女はびっくり箱
MC
6 眩しくて
7 真夏の恋のファンファーレ
8 泣かないでエンジェル
MC
9 ニライカナイを目指して
MC
10 AXIA〜かなしいことり(我妻)
11 お引っ越し(我妻・吉田・井上)
12 星座占いで瞳を閉じて(我妻・神岡)
門前・鉄戸登場〜現メン・Pからお手紙
13 なかよし
14 旅をつなげて
(アンコール)
en1 Be My Diamond!
en2 Let‘s Party Time!
en3 アンブレラ・エンジェル