「マッドマックス」の続編。
前作が個人の内面中心に描いた作品だったのに対して、本作では二つの勢力の対立の渦中にマックスが飛び込んでいくという展開。
登場人物は増え、乗り物の種類と数も増え、アクションの派手さも倍増。マックスの立ち位置は、正義の味方でもなく、ダークヒーローでもない「用心棒」。たとえて言えば、黒澤明の映画における「浪人」みたいなもので、ある種の契約によって力を貸すが、一番たくましいのは「民」であったというような位置付け。
黒のレザーの服装で荒野に立つマックスの姿や、モヒカンの悪役が「ヒャッハー!」するビジュアルは、「北斗の拳」を初めとするさまざまな作品に影響を与えていることは分かる。
ただ、この2作目自体の出来はというと、個人的には微妙。マックスの個人の物語の中では番外編的な位置付けに見えてしまうし、愛車のV8インターセプターの活躍する姿もかすみがち。
全体として台詞は少な目で、むしろ映像によって説明する部分が多い。オーストラリア英語の問題もあったのかもしれないが、結果的には字幕でも吹き替えでも大差なく楽しめるような作りになっている。
ただ、その台詞の少なさがこの作品から深みを減じていることは否めないし、前作のような「隠喩描写」も減っているがゆえに、マックスという人物の魅力は少なくなっているし、これはその他の人物についても同様。良くも悪くも「娯楽映画」のテイストを濃くしている。
特にマックスという人物が何を考えているのかは極めて分かりにくい。ハードボイルドと言えばハードボイルドであるが、ある種の「世紀末」に生きる中で、個人的な復讐に燃えるでもなく、社会的に正義を実現していこうとするでもない。ただ、ギラギラとして、力を秘めた存在になっているが、それがどこに向かうのかは、全く見えてこない。
エンディングを見ても「この先マックスは何を生きがいにしていくんだろう?」という疑問が離れなかった。
予算をかければ作品が良くなるわけではないというのは映画の常ではあるが、「マッドマックス2」ほどそのことを思わされる作品はそれほど多くない。僕にとっては前作の方が好きだったと思わされた。
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