「マッドマックス」(1979年)

マッドマックス」の新作「怒りのデス・ロード」が封切されて話題だが、旧作を全く観ていないので、BDで鑑賞。まずは1979年の「マッドマックス」から。

暴走族のならず者たちが好き勝手に振る舞う中で、同僚や家族を奪われていく主人公マックスが、彼なりの正義の制裁を実行する―という単純なストーリー。

だが、単純なスト―リーほど燃えるものはない。90分という尺の中でクライマックスまで一気に進んでいく。

ジョージ・ミラー監督は、クルマやバイク、そしてカーチェイスへのこだわりを強く感じさせる作風。一方で、現在の基準からすると、グロテスクな描写は抑制されていて、衝突する瞬間に「目」をアップにしたり、善良な市民が襲われる場面では、カラスが攻撃するショットを挿入したりと、隠喩的な表現を多用している。これが、ワイルドな映画なのに品格を保つことに貢献している。

総じて、セリフも少な目、おそらく予算も少な目。だが、マックスという男の生き様が強く印象に残る。ダークヒーロー物として秀逸。ある種の西部劇や任侠映画にも通じる美学を感じた。