唯一無二のパフォーマー―婦人倶楽部@渋谷タワレコ

神秘のベールに包まれた、いや、姉さんかぶりの手拭いに包まれた、佐渡の謎の4人組アーティスト「婦人倶楽部」。

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この婦人倶楽部が東京に来るというので、渋谷タワレコに行ってきた。3階のJ-POPフロア。

まずは、プロデュースを務める「カメラ=万年筆」佐藤望が登場。ボーダーのシャツにカーディガン、ハーフパンツというオシャレな出で立ち。

佐渡に住む本当の主婦なので写真は撮らないでください」との佐藤望のアナウンスに続いて、メンバーが登場。割烹着に姉さんかぶり。アー写にある通りの服装。

4人の婦人に続いて、笛を持った黒子が入場。

メインボーカル担当?の2名が前に立ち、残る2名が後ろに下がって、白くて長い布を広げる。

アンビエントミュージックのような心地良い「しまうた」の演奏が始まる。Enyaのような癒され感。まさに佐渡にゆるやかに流れる時間のよう。うしろの白い布は、まるでゆるやかな日本海の波のように寄せては返し、ときに大きくうねる。

想像を超えるスケールの楽曲。佐渡の自然の豊かさや大きさを思い出す。

楽曲が終わり、メンバーの自己紹介。秘密のベールに包まれた4名の名前は「婦人A」「婦人B」「婦人C」「婦人D」。それぞれの名前の形に指でアルファベットをかたどるところがまるでアイドルのようだった。ステージの隅で目立たないように仕事をしていた黒子氏もきちんと紹介された。一瞬、忘れられそうになっていた気もするけれど…

続いて「家事の音楽」。これはボーカルがなく、ピアノのコードストローク中心のバックトラックのみ。坂本龍一を彷彿とさせる音。お洒落なサウンド。それに合わせて、婦人倶楽部のメンバーがそれぞれの家事を行う。掃除、洗濯、料理、身支度。パントマイムや演劇を思わせる世界。独特の世界観。婦人Aの開いた雑誌が「婦人倶楽部」で、なるほど、と思う。

ここで姉さん被りが解かれ、手拭いの下の婦人倶楽部の顔が明らかに。想像以上のオシャレさ。髪型もメイクも小物も。そういえば、この割烹着の下のワンピースも、レトロな柄で婦人っぽくしているけれども、実はこれもオシャレなのでは…

最後の曲としてCDのタイトル曲にもなっている「FUJIN CLUB」を。曲に入る前に相互に割烹着を脱がせ、完全な「ヨソイキ」スタイルで登場。初期ピチカート・ファイヴ? 初期フリッパーズ・ギター? ブリッジ? という感じの、オシャレな渋谷系サウンド。佐藤望サイコ―!!


婦人倶楽部「FUJIN CLUB」PV(short ver.) - YouTube

婦人倶楽部は、渋谷系ポップの軽やかさと、佐渡の伝統芸能/生活感の不思議な融合が感じられるパフォーマンス。土着的なようでいて浮遊感があり、空虚なようでいてメッセージがある。唯一無二のパフォーマー。

ヴェールの下の婦人達が美しさと逞しさを兼ね備えていることも強く印象に残った。そういえば、フロアに集まった人も、音楽的に感度の高そうなお洒落人の比率高し。

CDを購入した人にはサイン会があるということで、タワレコ限定のCDを購入。1000円。

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ジャケット写真は「BABY BABY」や「未来ちゃん」で有名な川島小鳥。小鳥感あふれるテイスト。好き。サインのA,B,C,Dというのも、素性を明らかにしない婦人倶楽部らしさがあっていい。チェキ撮影の特典はなかったが、今後に向けて研究はしてくれるとのこと(婦人A談)。

主婦であることを基本にしているので、派手で積極的な活動はできないのだろう。だが、婦人倶楽部のパフォーマンスには演劇的な要素を含む独特な魅力があった。これからも機会を作って、僕らをはっとさせるアーティストであってほしい。

(婦人倶楽部・公式サイト):婦人倶楽部