もちろん「3人組女性アイドルグループ」だが、他にも共通点がある。
それは「三声ハモリ」。
どのグループも美しく繊細な三声ハモリを聞かせてくれる実力派。
サラリと歌っているように聞こえても、カバーすると意外と難しい。
ということで、ハコイリ♡ムスメの平日定期公演〜Respect for xx〜の最終回はQlair。
これまでのRespect for公演では、Qlairとribbonがセットだったが、今回は初めてQlairのみのリスペクト公演。
Qlairとribbonは、「乙女塾から生まれた3人組アイドルグループ」という点は共通しているけれども、楽曲の世界観、アートワークの方向性は全く違うし、何よりも「三声ハモリ」を主にしているかという点が決定的に異なる。
そんなQlairを今回はジャケットでオマージュ。
衣装もオマージュ。
ベレー帽にチェックにタイツ。
秋冬を思わせる装いで、秋冬の印象の強い「夢見るヴァイオリン」「スノーブーツのWISH」。
今日は、着席エリア後方から鑑賞。
「お願い神さま」「SUMMER LOVER大作戦」では、すぐ後ろに当日券で入った外国人のQlairヲタクの人がいて、イントロで歓声をあげたりしていた。
企画コーナー「5分で分かるQlairの歴史」に続いて、ここからはユニット曲「お引っ越し」(阿部・我妻・星)と、「パジャマでドライブ」(星・寺島・戸羽)。
Qlairは3人組だから、カバーも3人組の方が「再現度」が高くなる。
まず、今日の特典CDにも収められた阿部・我妻・星のお姉さん組の「お引っ越し」の完成度の高さは言うまでもない。
終盤に、主メロの明るい「バッハハイ」という強がりに被せる形で入る「あの日へ戻りたい 戻れない 悲しい」という本音が、この曲の奥行きを深めている。
今日はそのコーラスの被せまでが加わった、いわば「お引っ越し〜完全版(プロデューサーズエディション)」とでも呼ぶべきクオリティの高さだった。
この曲の初カバーの時からずっとユニットとして参画している阿部かれんが今月末をもってハコイリ♡ムスメを卒業するということを思い出して、改めて胸が熱くなった。
次の「パジャマでドライブ」のメンバーは、個人的にはこの日のサプライズ。
「お引っ越し」に続いてユニット曲に入った星里奈を主軸に、次世代のハモリの一翼を担うことが期待されている寺島和花、そして、吉田万葉の代役という格好でこの日の公演に急遽出演した戸羽望実。
若い3人組の織りなすハーモニーは、想像以上にバランスが良く、完成度が高く、生き生きとしていた。
「ハモるだけでなく、メロディの乗せ方、言葉のニュアンスなどの細部までしっかり合わせよう」とする寺島和花の強い意思が感じられて、今後さらにパフォーマンスが磨かれていくことが期待できる。
僕の主観だけれど、この日のベストアクトだった。
待望の新カバー曲は「約束」。
個人的には「タヒチアンラブ」とか「永遠の少年」あたりに期待していたが、夏の合宿とファーストコンサートを経て表現力に磨きをかけたいまのハコムスが、阿部かれん卒業を控えたいまのタイミングで「約束」を歌うというのは<物語>を感じさせたし、すごく説得力を伴って聞こえてきた。
終盤は「眩しくて」と「泣かないでエンジェル」。
楽しさを感じさせる和声がメジャー、悲しさを感じさせる和声がマイナーとするならば、Qlairの音楽は、楽しさと悲しさを同時に感じさせるメジャーセヴンスのようなものだ。
考えてみれば、人生自体がそういうものかもしれない。
完全な希望に包まれるわけでもなく、完全な絶望に沈むわけでもない。
希望の中に悲しみの陰りを見出したり、絶望の中に一筋の光を見つけたり。
その繰り返しを人生だとするならば、Qlairの音楽は、そんな人生に嘘偽りなく寄り添える性質を持っている。
そしてハコイリ♡ムスメのパフォーマンスも・・・
今日のハコムスのRespect for Qlair公演は、まさに「Respect for」公演の最終回、集大成となるに相応しいものだった。
特典会では、戸羽望実ちゃんを15秒撮影。
ナチュラルに憂いをたたえたのんちゃんのボーカルはQlairとの相性も良かった。
写真でもそんな雰囲気の表情を見せてくれた。
北の国から超特急で秋を運んで来たのんちゃん。
チェック衣装にベレー帽は、Qlairリスペクトだけれども、2年前のハコイリ♡ムスメの「ハコいっぱいのプレゼント」の時の衣装オマージュのようにも見えた。
(セットリスト)
1 夢見るヴァイオリン
2 スノーブーツのWISH
MC
3 お願い神さま
4 SUMMER LOVER大作戦
Qlairの歴史
5 お引っ越し(安倍・我妻・星)
6 パジャマでドライブ(星・寺島・戸羽)
MC
7 約束(新カバー曲)
8 眩しくて
MC
9 泣かないでエンジェル(*吉田万葉欠席)