偏愛が凄い―本田翼「ほんだらけ」

本田翼の「ほんだらけ」を買ってきた。

「最初で最後の写真集」ならぬ「1st-Last写真本」という帯のコピーは伊達じゃない。

まんだらけ」をリスペクトしたタイトルの時点で気付くべきだった。ここにいるのは、モデルでも女優でもない。布団にくるまったまま、コミックに埋もれている表紙からしてオタク全開での本田翼だ。

まず、表紙のカバーを外すと、表も裏も別のデザインの凝った表紙が現れる。もちろん、カバーの裏もイラスト満載。この凝った装幀に、本への偏愛を感じる。アートディレクションは、Dairy Freshの秋山具義ということなので、彼のリードの下に、本田翼ののびのびした才能を引き出しているのだろう。

写真は佐内正史。傑作写真集「きみになりたい」を彷彿とさせるフィルムのような淡い色合いと切ない距離感。布団で寝そべる視線に親近感を感じたり、公園でニット帽をかぶる姿に息を飲んだり。

各ページに彼女の直筆の書き込みがあって面白い。写真的には、見開きで、逆光のハレーションの中で微笑んでいるという「決めカット」のページにこんな言葉が。

好きなものを 好きなだけ
好きなことを 好きなだけ
とか言ったら太るし やるせない。

一見ありふれた言葉のように見せておいて、価値観を転倒させるユーモアとウィットがある。

後半は、コスプレ大会。それもかなりディープ。「鋼の錬金術師」「デッドマンワンダーランド」「ドリフターズ」「黒執事」「エウレカセブン」というラインナップ。

他にも、セーラー服で食パンくわえてダッシュとか、レトロなワンピースとか、シンプルな着物とか。最後のカフェ系女子、就活系女子、フェス系女子、マンガ系女子のキャラの演じ分けもあって面白かった。個人的には、某TVドラマで披露しているナース系女子も見たかったが、まあそれは別の機会にでも。

ということで、本田翼のオタクっぷりは想像以上。アートとしても、女の子写真集としても秀逸。俺の中の番付では、成海璃子二階堂ふみに匹敵する最上級クラス認定。かのヒビキ一郎も決して「俺は認めねえ」とは言えないだろう。今年のベスト写真集決定。

本田翼1st-Last写真本 「ほんだらけ 本田本」 (Angel Works)

本田翼1st-Last写真本 「ほんだらけ 本田本」 (Angel Works)