知的で良心的―『コンタクト』

仕事関係の人から勧められた『コンタクト』を視聴。以下ネタバレ。

この広い宇宙に我々以外の知的生命体が存在するかという問いは、科学の対象でもあり、フィクションの対象でもある。これまでも古今東西さまざまな答が提示されてきたが、この映画の場合は非常に知的で良心的な形で一つの可能性が示されている。類似の作品の中では『2001年宇宙の旅』や『惑星ソラリス』との共通点を感じる。まあ、要するに、異星人が乗り物に乗って地球にやってきて攻撃する、というタイプの話とは対極にあるものだ。

未知のものにあくなき好奇心を抱きながらも、説明可能なものだけを信じるという科学者のエリナー・アロウェイは、最終的に「コンタクト」に成功する。だが、彼女の体験したものは、現在の人類の科学では説明できない。彼女の言うことを誰も信じない。まるで「神の声を聞いた」と称したジャンヌ・ダルクのように。その体験を説明できる言葉はなく、整合性のある証拠も存在しないのだ(あの「18時間」を除いて)。

監督はロバート・ゼメキスだが、カール・セーガン原作だけあって真面目さが支配的な作品。エイナーを演じるジョディ・フォスターにスポットライトが当たり過ぎのきらいがあるし、個人的には恋愛的な要素はなくても良かったかと思う。これがハリウッドの文法ということなんだろうけど。ただ、頭がよくて信念が強いというこの役は、ジョディ・フォスターにとってはまり役だと思う。

舞台はほとんどアメリカだが、北海道が意外な形で出てくるのが見どころの一つ。その北海道のコレジャナイ感もなかなか凄いが。

コンタクト [Blu-ray]

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