死は生涯の完成―『ミリオンダラーベイビー』

死は人生の終末ではない。生涯の完成である。
（マルティン・ルター）

生涯の完成。だが、ほとんどの人は自分で自分の最期を決めることはできない。「勝つも負けるも自分次第」とか「生きるも死ぬも自分次第」と言うけど、本当？　その答がここにある。クリント・イーストウッド自身の考えなのかどうかは分からないけれども。

この作品のあらすじは以下の通り。

トレーラー育ちの不遇な人生から抜け出そうと、自分のボクシングの才能を頼りにロサンゼルスにやってきた31歳のマギー（ヒラリー・スワンク）。彼女は、小さなボクシング・ジムを経営する名トレーナーのフランキー（クリント・イーストウッド）に弟子入りを志願するが、女性ボクサーは取らないと主張するフランキーにすげなく追い返される。だがこれが最後のチャンスだと知るマギーは、ウェイトレスの仕事をかけもちしながら、残りの時間をすべて練習に費やしていた。そんな彼女の真剣さに打たれ、ついにトレーナーを引き受けるフランキー。彼の指導のもと、めきめきと腕を上げたマギーは、試合で連覇を重ね、瞬く間にチャンピオンの座を狙うまでに成長。同時に、実娘に何通手紙を出しても送り返されてしまうフランキーと、家族の愛に恵まれないマギーの間には、師弟関係を超えた深い絆が芽生えていく。そしていよいよ、百万ドルのファイトマネーを賭けたタイトル・マッチの日がやってきた…

他のイーストウッド監督作品の中では『グラン・トリノ』に最も似ている。生きることと死ぬことを描いたメッセージ性の強い作品。エンディングはあまりに強烈。気軽にまた見ようという気分にはなれない。他の人に薦めるのも躊躇われる。だが、生と死について考えるとき、きっとこの作品を思い出すことになるだろう。

最新作の『ヒアアフター』は、津波で死亡するというプロットから、時節柄公開が打ち切られた。ということで、個人的イーストウッド月間はひとまず終わりにしたい。

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