2009年8月30日の民主党大勝は、後世においてどのように説明されるのだろう。いくつかのポイントを思いつくままに挙げておく。
- 自民党政権・麻生総理は、内閣支持率の低迷にもかかわらず、衆議院を解散した(任期間近であった)
- 内閣支持率の低迷は、麻生政権の政策の結果というよりも、安倍、福田が続けて政権を投げ出した後遺症の影響が大きかった
- 1990年代に導入された小選挙区制の下で、そもそも政権交代が行われる素地は整っていた
- マニュフェストは一定の注目を集めたが、個別の政策について議論が深まるには至らなかった
- 北朝鮮の核問題で東アジアの緊張が高まっていたが、外交は争点にならなかった
- 年金制度は構造的な問題が露呈していたが、十分な争点にはならなかった
- 財政赤字の問題は誰もが手を打つべきと認識していたが、税制について議論が深まることはなかった
- というか、むしろ政策論議は二の次で、まずは政権交代ありきとの言説が、相応の支持を得た
- 自民党と官庁と財界の「鉄の三角形」の弊害があちこちで顕在化していたのも、国民の変革を求める機運を高めた
- マスコミも一通りの情報を客観的に提供しつつ、根底では政権交代を促す社説を展開した
- 前年にアメリカでオバマ大統領が誕生したことで、日本でも「チェンジ」が必要だという雰囲気が醸し出された
- 自民党のネガティブキャンペーン*1は民主党批判として有効ではなく、むしろ自らの品格を下げてしまった
結局、「なぜ民主党が選ばれたのか」ということを煎じ詰めるということは、「国民は民主党に何を期待しているのか」ということを明確にすることである。それは、裏を返せば「民主党は何をできないと国民の支持を失うか」という答に等しい。これからの4年間を見るときに、この視座はとても重要であると思う。