アメリカ大統領にオバマ

アメリカの大統領選挙でオバマが勝利した。アメリカ史上初となる黒人大統領の誕生という歴史的瞬間に立ち会うことが出来ると思うと感慨深い。というのも、アメリカにとっては、長い間、黒人は奴隷としてのみ存在していたからだ。そして、奴隷解放宣言の後も、平均的な黒人は、経済的困難や人種差別に苦しんできた。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは優れたカリスマ的指導者であったけれども、暗殺者の凶弾に倒れた。そういた数々の苦難を乗り越えての黒人大統領の誕生は、「まだアメリカは進歩できるかもしれない」という希望を感じさせる。

金融危機や景気後退で苦しい時期だからこそ、アメリカ合衆国の人々は、変革の希望を与えてくれる指導者を選んだのだろう。「アメリカン・ドリーム」という言葉は手垢にまみれているかもしれないけれども、夢を抱けるということは、個人の幸福にとっても、国家の成長のためにも、重要なことだと思う。

この日本でも、そのような希望を与えることのできる指導者が現われる日が来るのだろうか。英雄待望論は危険な要素を孕むかもしれないが、危険性ばかり指摘することで大事なものを捨ててしまわないように気をつけたい。そう思った。

米大統領にオバマ氏、黒人で初…民主8年ぶりに政権奪回

米大統領選は4日夜(日本時間5日朝)、全米各地で順次、開票が行われ、民主党バラク・オバマ上院議員(47)が共和党のジョン・マケイン上院議員(72)を破り大勝した。

オバマ氏は来年1月20日、第44代大統領に就任、米史上初の黒人大統領が誕生する。大統領就任時43歳だったジョン・F・ケネディ、46歳だったビル・クリントン両氏に続き、戦後では3番目に若い大統領となる。副大統領にはジョゼフ・バイデン上院議員(65)が就任する。

6年目に突入したイラク戦争金融危機で米社会に閉塞(へいそく)感が充満する中、「変革」を訴えたオバマ氏に期待が集中し、人種の壁を打ち破った。民主党の政権奪回は、クリントン政権(1993〜2001年)以来、8年ぶりとなる。民主党は、大統領選と同時に行われた上下両院選のうち上院でも過半数を維持した。

オバマ氏は、04年の前回選挙で共和党が勝利したフロリダ、オハイオ、ニューメキシコなどの各州を制したほか、44年ぶりにバージニア州も奪還。NBCテレビによると4日午後11時(日本時間5日午後1時)過ぎの時点で、選挙人数は当選に必要な270人を大きく上回る333人に達した。

オバマ氏は選挙戦で、米史上最低レベルの支持率にあえぐブッシュ政権との違いを強調した。外交ではイラク駐留米軍の早期撤退を公約。9月に金融危機が深刻化し、経済の立て直しが最大の争点となると、金融市場に対する規制強化など暮らしに配慮した政策を打ち出し、支持を拡大した。

ケニア出身の黒人の父、米国人の白人の母の間に生まれたオバマ氏は、人種や党派の違いを超えた「統合」を訴え、若者を中心に「オバマブーム」を巻き起こした。

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