まったく笑える場面がない〜『それでもボクはやってない』

周防正行監督の最新作(公式サイト:映画「それでもボクはやってない」FANSITE)。というよりも『Shall we dance?』以来10年ぶりの作品というべきか。痴漢冤罪裁判を題材にしている社会派映画だとは知りつつも、周防のコメディフレーバーを期待していたが、見事に裏切られた。まったく笑える場面がない。

もちろん、日本の警察・検察・裁判のあり方に疑問を呈するという態度は立派だが、まるでドキュメンタリーもののように遊びがない。主演の加瀬亮の真面目さ・自然さも前面に出ていて、まるで実話のようだ。

これが21世紀の周防映画の方向性になるのか。個人的には、これは実験作であってほしいと願う。以前の路線に回帰してほしい。