痴漢逆転無罪に思う

痴漢事案では初となる最高裁での逆転無罪。男性にとっては他人事ではない出来事だ。今は満員電車に乗ることがほとんどないので、たまたま助かっているだけなのかもしれない。でも、もしかしたら不運にこのような事態に巻き込まれるかもしれない。逮捕され、起訴され、下級審で実刑判決を受ける。それでも、最高裁まで不屈の精神をもって争うことが果たしてできるだろうか。「それでもボクはやってない」と主張し続けられるだろうか。

失った信用はある程度は取り戻せるかもしれない。だが、失った時間と労力は帰ってこない。本当なら損害賠償請求を起こしたいところだ(この男性教授はするのだろうか)。でも誰を相手に?この女子高生なのか。それとも警察なのか。考えれば考えるほど、面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ。

でも、今の世の中、いつ痴漢冤罪に巻き込まれてもおかしくない。そのリスクを小さくするため、今日も女性からなるべく離れて電車に乗る。

強制わいせつ罪に問われた防衛医大教授、逆転無罪判決 最高裁

満員電車内で女子高生(当時17)に痴漢したとして強制わいせつ罪に問われた防衛医科大の男性教授(63、休職中)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は14日、男性を懲役1年10月の実刑とした一、二審判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。男性の無罪が確定する。

痴漢事件をめぐり、最高裁が逆転無罪を言い渡したのは初めて。判決は5裁判官中3人の多数意見。

同小法廷は「『痴漢被害を受けた』とする被害女性の供述の信用性に疑いをいれる余地がある」と指摘した。
日本経済新聞