宮部みゆき原作「ソロモンの偽証」の映画2部作を一気に観た。前篇2時間・後篇2時間半の合計4時間半コース。
江東区で起きたた中学生自殺事件を中心に、生徒の動揺、私的制裁、学校の隠蔽、メディアスクラムなどを多面的に描いたもの。
終盤では「12人の怒れる男」風な陪審員による模擬裁判が行われる。「疑わしきは罰せず」の原則を基本に、さまざまな証人を呼んで、真実を追求していく。
スクリーンから目が離せない手に汗握る展開で、論理的に裁くというこはこういうことだよね、と思って観ていると、終盤「いじめ問題は見て見ぬふりをしている一人一人に責任がある」といういかにも日本的な結論になるところがやや興ざめだった。だが、それはこの作品にとって致命的な欠点ではない。
大御所俳優が多く出演し、生徒役でも多くの若い俳優が出演する中、主人公の藤野涼子を演じる新人の藤野涼子の存在感が圧倒的。将来、日本の映画会を背負う逸材になるだろうと確信させられる。
役名と同じ芸名を付けたということだが、まさにこの大作で主役を演じたことは、彼女の今後のキャリアにとって輝かしい原点になるだろう。今後の活躍に大いに期待したい。