『スクール・オブ・ロック』はゼロ年代の『いまを生きる』

IT SAYS NOTHING TO ME ABOUT MY LIFE.
(それは僕の人生について何も言ってやしない)
("Panic" The Smith)

では、僕の人生について誰が語ってくれるのだろう。この映画の場合、それはロック好きの偽教師だった。彼のやり方は通常の教育とはまるで違っていても、クラスの生徒の人生について確かに語っていたのだ。血の通った生きた言葉を。それが生徒の心に響いたということだ。人生はロックだ!と。

ちょうど、89年の映画『いまを生きる』で型破りの熱血教師が語ったように。「スクール・オブ・ロック」は「死せる詩人の会」と同じだ。常識を疑え! 権威を笑え! 教師なんて信じるな! 学校飛び出せ! 自分の心の声に耳を澄ませ! 本当の自分になれ!

『いまを生きる』でロビン・ウイリアムは生きる意味を教えてくれた。ジャック・ブラックは『スクール・オブ・ロック』で生きることの素晴らしさを教えてくれる。そこには説教臭さはまるでない。ただ真実があるだけ。「ロックしろ!」と。

オタクを演じさせたら抜群のジャック・ブラックは、『ハイ・フィデリティ』での助演ポジションから、この作品で圧倒的な主演ポジションに躍り出た。普通じゃないハイテンションで、音楽的インスピレーションを感じさせる演技は、まさにハマリ役。この人、本当にロックが好きなんだろうな思わせる演技。ノリにノっているというか。この翌年の『キングコング』での映画監督役も存在感十分だし、最新作『ガリバー旅行記』でのユーモラスな演技も面白そうだが、この作品こそ間違いなくジャック・ブラックの代表作。

BD化はされていない模様。

スクール・オブ・ロック スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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『いまを生きる』もBD化されていない。

いまを生きる [DVD]

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