『ホビットー竜に奪われた王国』

先に映画化された『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前日譚に当たる『ホビット』の2作目。まるで『スターウォーズ』のエピソード2にも似て、着地点がわかっていなながら、眼前の展開を後日の伏線として楽しむ作品。

原作のボリュームを考えると、『ホビット』は3部作にするほどの必要はないくらいの長さ。なので、『ロード・オブ・ザ・リング』が駆け足なのに対して、かなり一つ一つのエピソードを丁寧に描いている。

日本での封切り前なのでネタバレを避けて書くと「2時間40分かけてここで終わるのかよ!」と突っ込みたくなるところで次作に山場が持ち越される『レッドクリフ』状態。

基本的には、ホビットドワーフの地味なメンバーによる冒険で、画面的にも華がないはずなのだが、大人の事情からかエルフの王国がたっぷりと描かれ、みんな大好きなレゴラスも大活躍。

そして、僕の大好きな「グレイ・ザ・ガンダルフ」も期待以上の見せ場あり。しかし、原作のガンダルフは頭が良い策士のイメージだったのに、映画では漢気のあるツンデレ魔法使いキャラが定着したようだ。まあ、歓迎する方向だけど。

といろいろと書いたが、この『ホビット』シリーズの最大のの魅力となっているのは、ビルボを演じるマーティン・フリーマンのとぼけた演技に他ならない。彼の演技というか、顔芸だけで、相当の推進力になっている。

今回は、TVドラマ『シャーロック』でコンビを組んでいるベネディクト・カンバーバッチの出演もあり、ファンをにやりとさせる仕組みも用意されている。

ファンタジー映画としては『ハリー・ポッター』シリーズが完結した今となっては、大作のシリーズはこの作品くらいであり、その点では完結まで楽しみながら追いたいシリーズではある。早く完結して欲しい(といいつつ、完結したらディレクターカットのロングバージョンがBDで出そうだけど(。