恐ろしいまでの閉塞感〜『ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス』

ブギーポップシリーズの11作目。メビウスの輪のように閉じられた空間。そこに迷い込んだ登場人物達。そこで繰り広げられる統和機構とそれに対立する人々の物語。今回もブギーポップの出番はごくわずか。だが、全体を通して恐ろしいまでの閉塞感に満ちている。閉所恐怖所にとってはつらい作品。読む場所が飛行機の中でなくてよかったと思う。

考えてみれば、このメビウス空間というのは、人生の隠喩だ。僕らも閉ざされた世界の中で閉塞感を感じながら生きているのだから。ここから脱出できるのか、展望は開かれるのか、というようなことを考えながら。だが、カタルシスを期待していても、本当の人生においては、滅多にそんなものはない。