運命なんてない〜『ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ』

ブギーポップシリーズの10作目。運命を操ろうとする者、それに逆らおうとする者、それを傍観する者…<ジンクス・ショップ>で販売されるカードを発端に様々な人々の思惑が渦巻いていく。

今回もブギーポップの見せ場は十分。「世界の敵の敵」というよりも、正義の味方という存在に近い。それは「炎の魔女」の存在感も薄くなるくらいだ。今回の作品は、著者の「運命観」とでもいうべきものが色濃くにじみ出ている。あとがきにもあるように「すべては遺伝子に書いてある」なんていうことはない。僕らは自分の運命を自分で切り開いていく存在なのだ。