いずれ失うものなら最初からいらないのだろうか?〜『クビシメロマンチスト』

西尾維新戯言シリーズ2巻目。

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

主人公のぼくこと「いーちゃん」が、殺人鬼の零崎人識と心を通わせる場面が印象的。以下、いーちゃんの戯言を引用。

いずれ失うものなら最初からいらない。
終わるものなら始まらなくていい。
苦痛を伴う快楽など不必要。
悲しまなくていいなら幸せなんていらない。
失敗しなくて済むなら成功しなくていい。
リスクを孕んだ進化など不必要。
(P.78)

虚無!虚無!虚無!
フリッパーズ・ギターの「ハイファイな悪戯さ きっと意味なんてないさ」に匹敵する虚無!

内容的には、京都の鹿鳴館大学を舞台にした連続殺人事件というプロットだけれども、本質的には青春小説、それも生きることに意味を見出せない人間の独白(戯言)に満ちた小説。好き嫌いは人によって分かれるかもしれないが、僕は好きだな。