友人のYが、大学卒業以来勤務してきた会社を退職して、私がいま勤務している会社に中途入社してきた。出社時間は確実に1時間は早くなり、退社時間は平均的に遅くなり、おそらく年収は増えず、伝統的な意味での福利厚生は大幅にダウン。それでも、彼は仕事のやりがいを求めた。
今回の彼の転職が、選択として正しいのかどうかは私には分からない。それは、彼が、人生の価値、といって大げさならば、生活の価値*1を何に置いているのかで決まるからだ。生活の豊かさは、当然ながらお金だけで計れるものではないし、労働時間の短さで決まるわけでもない。自分のすることが役にたっているかどうかという使命感を感じられるかという点も重要だ。その使命感を求めてきたYが、遅まきながらここで「天職」を見出せればいいと思う。いや、もし天職を見出せるのであれば、早いか遅いかなんて、きっと関係ない。がんばれ、Y。
このような「カネの多寡じゃない、天職かどうかだ」という考え方が説得力を持っているというのは、私達がいまだにマックス・ウェーバーの見通していた世界にいることを証明しているように思う。日本人の多くはプロテスタントどころか、クリスチャンですらないのにもかかわらず。
- 作者: マックスヴェーバー,大塚久雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/01/17
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*1:英語だとどちらもlifeなのに、日本語では「人生」と「生活」では結構ニュアンスが異なるのはなんだか不思議だ。