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『ゼロ・グラヴィティ』ー映像にはクラクラするが

「宇宙はつらいよ」ーこの作品を一言で紹介するならばそんな言葉になるだろう。

『ゼロ・グラヴィティ』の名前の通り、この作品は重力のない宇宙の船外活動で幕を開ける。あるクルーの「嫌な予感がする」の言葉が伏線になり、事態は急を告げる。そして…

3D向けに撮影された無重力を描写する映像は「一体、どうやって撮影したんだろう」という疑問が常に頭から離れないくらい強烈だ。

ただし、ストーリー、というか、プロットはあまりに単純。登場人物の描き方も類型的。『アポロ13』のようなNASAとの緊迫したやり取りがあればよかったと思うが、そこも弱い。

決して低予算映画ではないのだが、宇宙の広がりや地球とのつながりを現すような描写は少な目で、今ひとつスケールの大きさが感じられなかった。主役級の俳優にお金をかけていて、シナリオや脇役には手が回らなかったのではないかと疑ってしまう。

話題になった作品だが、「人類はなぜ宇宙に行くのか」とか、「重力に引かれることで人類の洞察力は低くなるとか、掘り下げればいくらでも考えさせるテーマは用意できたずなのにもったいない。

まるで遊園地のアトラクションのように、技巧をこらして観る人を楽しませようとしているが、そこ止まりで終わっているように感じた。