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最悪に備えることは当然なのに

ある種の誤報と言ってもよい。そうでなければ、情報操作だ。

数年後の国債急落を想定 三菱UFJ銀が危機シナリオ

銀行最大手の三菱東京UFJ銀行が日本国債の価格急落に備えた「危機管理計画」を初めて作ったことがわかった。数年後に価格が急落(金利が急騰)して金利が数%にはね上がり、損を少なくするために短期間に数兆円の国債を売らざるを得なくなることもある、としている。国債の有力な買い手がいよいよ「急落シナリオ」を想定し始めた。
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金融機関というものは保有している資産の下落リスクをシミュレーションし、コンティンジェンシー・プランを策定するものだ。それは日本国債に限らない。企業向けの貸出も、外貨建ての資産も、不動産も全て対象となっているはず。別に、昨日今日になって、日本国債の下落リスクが意識されたわけではなかろう。

この点で朝日新聞のこの記事は事実誤認であろう。ある種の誤報というのはそういう意味だ。

で、金融機関が国債の下落リスクを検討したから何だというのか。電力会社が地震や津波のリスクを検討したとしたら新聞記事になるだろうか。

最悪に備える。それがリスク管理の基本だ。「想定外」などというのはどこかの間抜けな政府だけで十分だ。民間企業の場合には、起こり得るリスクを「想定外」などといって放置していたら、企業の存続が危ぶまれる。銀行の今回の行動が事実なら、きわめて真っ当な対策であるといってよい。

では、朝日新聞はなぜこれを報じるのか。ある種の情報操作といったのは、この記事で「日本の国債も危ない」という印象を読者に植え付けようとしているからである。では、朝日新聞はなぜそのような印象を植え付けたいのか。恐らく「国債の暴落を防ぐには、財政の健全化が必要。そのためには消費税率の引き上げが不可避」だというストーリーを作りたいのではないだろうか。

あからさまな自民党批判により民主党への政権交代に一役買ったメディアが、またしても民主党政権の施策を支持する材料を提供する。何をどう報じようが朝日新聞の勝手ではあるが、国民はそのような情報操作に騙されないだけのリテラシーを身に付けつつあるのではないだろうかと思う。