トヨタにこそ公的資金を!

リセッションが急激に進んでいる。トヨタが創業者の末裔(「オーナー一族」ではない)を社長にするのが「あえて登板し、社内の危機感を高める」と報じられたが、原因と結果の取り違えとしか思えない。たとえ豊田一族が社長につかなくても、社内の危機感は頂点に達しているだろう。

21世紀の看板モデルであるプリウスも、今年のフルモデルチェンジ後も、旧モデルを併売することを早々に謳っていて、相当在庫が積みあがっていることを窺わせる。このままでは、アメリカの自動車メーカーの危機を嗤えない。

不思議なことに、日本には「自動車産業に公的資金を!」と言い出す人はまだいない。アメリカのビッグスリーの救済議論を右目に見て、日本政策投資銀行を通じた事業会社への公的資金投入スキームを左目に見ても、トヨタはきっと自助努力で赤字を縮小していくのだろう。公的資金投入を投資と位置づけるならば、このようなV字回復の可能性の見込める企業に投資すべきなのかもしれない。

トヨタ:営業赤字、数千億円規模に 3月期下方修正へ

トヨタ自動車の09年3月期連結決算(米国会計基準)の営業赤字額が、世界的な自動車市場の低迷で、昨年末公表の1500億円から数千億円規模に拡大する見通しとなった。国内事業会社では過去最大の赤字額となる。トヨタは今期3度目の下方修正を行う方向で、最終損益も赤字に転落する公算が大きい。
トヨタは08年3月期に過去最高の2兆2000億円の営業利益を計上したが、世界同時不況の直撃を受け、わずか1年で過去最大の赤字に転落する。
最終赤字は、最終損益の公表を始めた1963年11月期以降初めて。
トヨタは昨年11月、営業利益が前年比7割減となるとの業績下方修正を発表。
しかし、世界経済の悪化は「予想をはるかに上回るスピード、深さ、広さで拡大」(渡辺捷昭社長)し、わずか1カ月半後の同12月には営業損益を1500億円の赤字に再度、下方修正した。
毎日jp(毎日新聞)