原田知世のコンサートに最初に行ったのは、1986年「1st コンサートツアー MUSCAT LIPS」のツアーファイナルの中野サンプラザ。
ダブルアンコールの「時をかける少女」が印象的だった。
あの頃の僕は、原田知世よりはムーンライダーズや大貫妙子をよく聴いていた。
あれから36年。
原田知世はムーンライダーズや大貫妙子や高野寛とぐっと近いところで音楽を続けている。
当時は全く予想できなかったことだ。
音楽の方向性は長い時間を経てだいぶ変わって行ったけれども、この10年ほどの音楽的充実には目を見張るものがある。
充実を示すかのように「fruitful days」と名付けられた最新アルバムとツアーを経た40周年。
東京国際フォーラム ホールAで開催されたコンサートに足を運んできた。
お花はたくさんでごく一部だけを掲載。
コンサートは「A面で恋をして」でスタート。
赤系のワンピースがフレッシュ。
ストリングスとブラスも含めて10人のバンドが奏るサウンドは実に豊かで、音楽の楽しさを伝えてくれる。
「恋をしよう」「ユー・メイ・ドリーム」の後、最初のゲストが紹介される。
大貫妙子が登場し、MCの後、初期の提供曲「地下鉄のザジ」を二人で歌う。
この二人の雰囲気はすごく似ているものがあって、横に並ぶと他人とは思えない。
ボーカルの味わいはそれぞれの個性があって、かわるがわる歌われるメロディを堪能した。
初ミュージカルで歌った「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」の後、二人目のゲスト土岐麻子が登場し、ぐっとポップな「ping-pong」を歌唱。
実に贅沢なコンサートだなと思う。
第一部の最後の曲は「冬のこもりうた」。
スクリーンに冬の光景をモチーフにした映像が映し出される。
長いアウトロの途中で原田知世は退場し、ステージに余韻が残る演出。
20分の休憩を挟んで第二部が始まる。
半透過のスクリーンにVJが流れ、本人の姿もバンドメンバーの姿も見えない中「Like This」が流れていく。
次の「ヴァイオレット」でスクリーンが上がり、白系のドレスに着替えて髪をアップにした原田知世が現れる。
ゲストの高野寛が登場して「一人紅白ですね」とジョークで笑いを取った後、歌詞を提供した「邂逅の迷路で」をデュエット。
ボーカルは優しいのに、終盤でかき鳴らされるギターがアグレッシブなところが実に高野寛という感じ。
そして、今日最後のゲストは鈴木慶一。
思い出話が尽きないくらいに二人のトークが長かったが、鈴木慶一が作詞し、ザ・ビートニクス名義で作曲した「アップデートされた走馬灯」をコラボで披露。
鈴木慶一らしい捻りが加わっているが、原田知世が歌うと透明感がすごくて癒される思い。
終盤は、これまでの40年を振り返るMCの後に「夢の途中」、そして最新アルバムから「一番に教えたい」、最後は銀河のVJをバックにした「銀河絵日記」。
銀河鉄道で旅したような気分になる。
アンコールでは「ロマンス」。
これはスマホでの撮影が可能。貴重な経験ができた。
そしてアンコールの最後の曲は、「時をかける少女」。
これは本人にはサプライズの演出で、客席からみんなでスマホライトを点灯してステージの本人に銀河を見せるというもの。
その光景を見て感極まって泣き始める姿こそ、僕らが40年間見続けてきて、40年間清楚なままの原田知世その人だった。
最後は、ゲスト全員が一堂にステージに登場し、バンドメンバーと一緒に原田知世のデビュー40周年を祝福。
客席のファンも拍手でお祝いして、2部制のコンサートは幕を閉じた。
一口に「40年」というけれども、これだけの間音楽活動を続けてきて、そしてなお新しい音楽を奏で続けるとは。
デビュー当時はそんな40年後があるとは想像できなかった。
ある意味で「奇跡」かなと思う。
そんな記念すべき40周年に立ち会えたのは、見ている方としても感慨深いものがあった。