Who's gonna die first? Who's gonna die first? 愛にこだわりすぎた
Who's gonna die first? Who's gonna die first? ぼくであるはずがない
かしぶち哲郎さんが亡くなった。
ムーンライダーズではドラムを担っていたが、作詞・作曲で独特の美意識を持った楽曲が魅力的だった。
ひときわ耽美的な彼の世界観は、いい意味でひねくれたムーンライダーズのコンセプトとはときに調和しないこともあり、むしろソロ活動の方で輝きを放つようになった。彼のソロアルバムは、『リラのホテル』、『彼女の時』、『fin 〜めぐり逢い〜』と時を重ねるにつれて、妖しさと円熟味を増していった。
セカンドアルバムの『彼女の時』の「柔らかいポーズ」は、淫靡なテーマを歌っているはずなのに、決して下世話にならず、どことなく俗世を離れた聖者のような感じさえ漂わせる。
演奏は、BASS:細野晴臣、Strings:坂本龍一、B・Vocals:矢野顕子・大貫妙子・石川セリという豪華メンバーで、才能あるミュージシャン達の力を呼び寄せた氏の人柄が偲ばれる。
かねてより病気療養中であったが、享年63歳はあまりに若すぎる。彼の音楽は年を重ねれば重ねるほどに熟成され、新しい境地を切り拓いただろうにと思う。
僕らはもうムーンライダーズを聴くことはできない。だが、かしぶち哲郎の生み出した美しい音楽はこれからも僕らの心の中に宿り続けるだろう。
かしぶち哲郎さんのご冥福を心からお祈りします。