ギュスターヴ・モロー展@パナソニック汐留美術館

欧米の美術館だと、平日の特定の曜日は夜遅くまで開館しているのが結構あるのだが、日本ではまだまだ少数派。

そんな中、今日は20時まで開館しているということで、パナソニック留美術館に足を運んできた。

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18時に入場すると、金曜日の夜で仕事帰りのような感じの人が目につく。

パリにあるモロー美術館からの作品のみで構成されたモローの企画展と言っても過言ではないくらいのモロー三昧。

モローの最高傑作だと僕が思っている「出現」も来ている。

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ヘロデ王の娘サロメヨハネの首を所望するこの「出現」をキービジュアルにできないのは、今の日本のアート事情(というかポリコレ事情)なのかもしれない。

生涯を通じて、<神話>や<物語>をモチーフにして、男性を破滅に陥れる「ファム・ファタル」(運命の女)を描き続けたモロー。

本場パリのギュスターヴ・モロー美術館で膨大な作品を鑑賞した経験も含めて言えば、率直に言って作品のクオリティにはムラがあるのは否めないが、テーマへの一貫性は徹底していたと言える。

今回、キービジュアルになっているユニコーンと乙女は、中世美術館に展示されているタペストリーから強いインスピレーションを得たものではあることは明らかだが、それとて、彼のライフワークのテーマに沿っていると言える。

デッサン、習作を含めてこれだけ多くの作品を日本で見られる機会は得難い。

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広いとは言えないパナソニック美術館だが、随所にモロー美術館のビジュアルを紹介するコーナーがあって、パリの香りを再現しようという意気込みが感じられた。

鑑賞を終えて19時に出口から外に出ると、入場制限がかかっていて、最後尾はなんと60分待ちだと(すなわち閉館時間)。

平日夜の美術展、かなりの需要があるのだから、これからもっと広がっていって欲しい。


先月から今月にかけて、ラファエル前派の軌跡展@三菱一号館美術館クリムト展@東京都美術館ギュスターヴ・モロー展@パナソニック留美術館と鑑賞した。

この3つの企画展が同時に見られる2019年春の東京のアート鑑賞事情は、なかなか「豊穣」だと言えるんじゃないかと思う。

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