少し前までは印象派一辺倒だった日本の美術館の企画展だが、ここのところぐっと選択の幅が広がっているのはうれしい限り。
今だと東京都美術館のクリムト、パナソニック美術館のギュスターヴ・モロー、そして三菱一号館美術館のラファエル前派。
こういうのは現地に行くときに時間をとって観てきたけれども、同時期に東京で見られるとか、本当にいい時代になった。
ということで、三菱一号館美術館へ。
ラファエル全般の代表とも言えるロセッティをメインに据え、撮影可能コーナーを設ける力の入れよう。
僕の大好きなバーン=ジョーンズも展示多め。
天井の高さに余裕のない超都心美術館ゆえ、上下方向にサイズの大きい作品はほとんどないけれども、それでも統一感のある展示はそれを補ってあまりある。
後半は、ウィリアムモリス商会の家具やタペストリーも並ぶという、三菱一号館美術館の得意なスタイル。
古代や中世の<物語>をモチーフにしたラファエル前派の幻想的な作品群は、アーティストたちによる自覚的な<運動>の賜物であったと実感。
決して誰にで人気があるというジャンルではないが、この分野の企画展をコンスタントに行う三菱一号館美術館ならでは見所が満載だった。