アイドルを撮るデジカメは何がいいか?

「デジカメは日進月歩」と慣用句で書きたいところだけれど、いまはスマートフォンの普及やチェキの復権でデジカメ市場自体が風前の灯。

5年前に「ミラーレス一眼はどれがいいか」なんてエントリを書いたけれども、内容の陳腐化も著しく、いちいち注釈がいるくらい。

sharp.hatenablog.com

それでも、今回、アイドル関連の友人から「OLYMPUSのミラーレスはいいですか?」と聞かれたので、とりあえず考えているところを書いておく。

そもそもデジカメは必要?

ここまでスマホのカメラ性能が向上すると、デジカメは必要? じゃ、何のために? っていうのは最初に考えた方がいい。

まあ、想像するに「いい写真を撮るため」っていう答が一番多いだろうと思う。では、かりに僕が「いい写真を撮るためには何が必要か」って聞かれたら何と答えるか。

ここ十年でその答は変わらない。「シャッターチャンスの瞬間にカメラを持っていること」。

だから、大きいカメラを持ち出すのが億劫だというのであれば、スマホでパシャパシャ撮った方がいい。決定的瞬間も撮れるだろうし、何より撮れば撮るほど上手くなる。

スマホでは飽き足りないならカメラを買おう

でも、もしスマホでは飽き足りなくなったら、そこで初めてデジカメを買うという選択肢が出てくる。

ここで、もう一回問うけど、どこが飽き足りないの?という問いに答えられないと、何を買えばいいのかに答は出ない。

「動きの速いステージを撮るのに、決定的瞬間を撮れない」
「暗いライブを撮るのに、綺麗に写らない」
「遠くから撮るので余分なものが入ってしまう」
「相手からなんか写真上手そうと思われたい」

もちろん、4番目のも立派な理由になる。そして、もちろん、僕は違うけど。

ここまで来たら予算次第で、コンパクトデジカメ、ミラーレス一眼、デジタル一眼レフの中から選ぶことになる。

コンデジ<ミラーレス<一眼レフ」ではない

もちろん一番お手軽なのはコンデジで、安ければ1万円程度、少し良いものでも2、3万円程度がボリュームゾーン。このクラスになるとセンサーサイズもレンズもスマホより大きいのでだいぶ綺麗に撮れる。もちろん、コンデジでもさらに値段が上のものもあって、そういう「高級コンパクト」になると、下手すると一眼レフの入門機よりもいい仕上がりになるかもしれない。

ただ、こだわりが強くなると、コンデジ一台では満足できなくなるかもしれない。

それは、ボケの美しさであったり、反応の速さであったり、設定変更の容易さであったり、シャッタースピードであったり、外付けフラッシュであったり、暗所のノイズであったり、超望遠であったり…

ではコンデジでは満足できそうもない場合、何を選ぶべきか。

僕は、ここでミラーレスではなく、デジタル一眼レフの入門機の方が実はいいのではないかと思っている。

キヤノンであれば、EOS Kissとか、ニコンのD4桁とか、その辺なら「ダブルズーム付」で5万円。「ちょっと凝りたい」という人にはこれを勧めるし、もうちょっとハッタリを効かせたいという人には、もう一ランク上の「中級機」がいいかもしれない。本体で10万円くらいの。

デジタル一眼レフは、ミラーレスに比べれば大振りだが、汎用性の高い悪くないチョイス。ファインダーは良く見えるし、シャッターもキレがいいし、その気になれば望遠でスポーツも鉄道も撮れる。

もちろんキットレンズゆえに開放絞りが暗いので、ボケがあまり綺麗でないとか、色ノリが今一つとか不満を探し出せばあるだろうが、そこは、標準単焦点レンズを買い足せば解決することが多い。キヤノンのEF50mm F1.8なら1万円しない。もちろん、ここからレンズ沼に入ったり、フルサイズ沼に入ったりすると、数十万円コースの出費になる可能性は否定しない。そうなると、お金もかかるし、機材も大きく、重くなる。

まあ最初からそのつもりなら、キヤノンでもニコンでもフルサイズで高級レンズを買っておけばいいという結論もある。しかし、機材にお金を取られて、本来撮るべき対象の方にお金をかけられないという本末転倒が起こらないようには要注意。

これは「機材ヲタ」に陥りがちな罠で、「〇〇カメラ」とかの商業雑誌の提灯記事とか性能テストとかに引っ張られて、何を撮るかは二の次になってしまう人もいる。

この道に進むと、僕が最初に書いた「シャッターチャンスの瞬間にカメラを持っていること」は難しくなるんだよね。

ミラーレスという選択

ミラーレスは、サイズ的にはコンデジと一眼レフの間にあるけれども、使いこなしは一眼レフの方が簡単かもしれない。それはやはり電子ファインダーに慣れが必要だったり、設定の変更がしにくい機種があったりというという要因が大きい。

でも、サイズの小ささ・軽さは何物にも代えがたい。それはシャッターチャンスを重視する立場ではなおさら。たとえば、ライブ写真を撮るときに、片手で持って周囲の人にもあまり迷惑をかけず、思い通りの写真が撮れるという点ではベストかもしれない。

キヤノンニコンなどの一眼レフをメインとするところも含めていろいろなメーカーがミラーレスを出しているが、個人的には以下のような特徴があると思っている。これはあくまで個人の大まかなイメージ。

  • キヤノン:あくまでラインナップに加えているだけ。あえて買うようなものになっていない。
  • ニコン:圧倒的な連写性能。鉄道・航空機など遠くの動くものを撮るにはベスト。センサーサイズが小さいのでボケはイマイチ。
  • ソニーSONY信者にはブランドイメージがいいが、個人的にはレンズラインナップが少なくシステムを組みにくい。
  • オリンパスマイクロフォーサーズ規格にコミットして円熟度を増している。ボディ内手ぶれ防止最強。単焦点レンズも充実。一眼レフシステムの代替になりうる数少ない選択肢。
  • パナソニックオリンパスと同じ規格だが、手ぶれ防止はレンズ内が中心。
  • フジ:フィルム色を再現できるJPEGは素晴らしく、肌色が綺麗に出るポートレート向き。ボディ・レンズともやや大振りなのとデザインがレトロなのに抵抗がなければありかも。
  • ペンタックス:一応出しているけれども・・・というレベル。趣味性は高いが実用性は高くない。

こんな感じ。

やはりシステムとして一日の長があるオリンパス/パナソニックマイクロフォーサーズ連合がレンズを含めたラインナップも安定しているし、買ってからも長く使えるものであることは間違いない。

僕が使っているのは、OLYMPUSのOM-D EM-5という一世代前のボディ。そのうちOM-D EM-1を買い増そうと思ってるうちに時間がたってしまった。使いこなしができれば不満はないが、いまから買うなら、EM-1かEM-5 MarkIIがお勧め。もちろん、廉価版のEM-10も悪くない。

そして、僕が使っているレンズは単焦点中心で、17mm、25mm、45mm(フォーサーズの場合、フルサイズに画角を換算するのは2倍する)。以前は75mmも使っていて、その描写は抜群で、圧倒的に小型軽量だったけれども、画角として使いにくかったのも事実。いまは、広角のズームと望遠のズームも併用している。特に、ライブ写真を撮りだしてからは、40-150mm F2.8が便利。

このシステムだと、ボディ10万円台+レンズ10万円台で、合計30万円台。ミラーレスは小型軽量ではあるが、決して値段が安いわけではないところには注意。

で、このシステムだとこんな感じで撮れる。 

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40-150mm買った次の日に撮ったアイドルネッサンス

そして、撮影フリーだった日比谷公園小音楽堂のつりビット。

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もちろん、特典会で近くから撮るのなら、そんな大きくて7高価なレンズは要らない。25mmの単焦点で十分。
ひめキュンのリリイベでのまゆりん。

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結論

カメラ選びに唯一の正解はない。目的による―

ということで、アイドルのイベントでさりげなく、でも思い通りに撮る、ということであれば、マイクロフォーサーズは悪くない結果を残してくれるだろう。個人的には、OLYMPUSのOM-Dシリーズはお勧め。

ただし、繰り返しになるけれども、予算・携帯性・拡張性をどこまで求めるかによるので、コンデジでも一眼レフでも自分に合っていると思えば、それを買って失敗ということはないだろうと思う。