魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展@国立新美術館

音楽と舞踊と物語と、そして衣装が織りなす総合芸術が好きだ。

フィギュアの今井遥が氷上を舞うのも、ドロシーの白戸佳奈がステージでターンを決めるのも、「WIKED」のイディナ・メンゼルが大空高く舞い上がるのも、自分の中では同じ総合芸術というカテゴリーとして鑑賞している。


ということで、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の展覧会を観に行った。

公式サイト:
魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展|TBSテレビ

バレエ・リュスは、「天才を見つける天才」と言われたセルゲイ・ディアギレフが主催したバレエ団。

今回の展示は、年代を追って、バレエの演目毎にコーナーを設けて行われている。バレエは32演目、衣装は140点。


広大な会場にバレエの衣装が並ぶ様は圧巻。これだけのバラエティに富んだ衣装を一度に見ることができる機会はなかなかない。

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バレエ・リュスと言えば、どうしても天才ダンサーのニジンスキーのイメージが強い。彼が世界に衝撃を与えた「牧神の午後」の衣装の他、「青神」で実施に着用したものも展示。神々しさを感じさせる。

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ニジンスキーとでディアギレフの蜜月はわずか4年ほどで終わってしまうけれども、その後も、ディアギレフはその審美眼により才能を集めることに成功し、ピカソマティスコクトーといった、当時のパリを代表するアーティストに作品を手掛けさせている。

バレエは肉体で舞踏することで表現する芸術だが、そこにおけるコスチュームの重要性を改めて認識させられた。

ディアギレフの没後、バレエ・リュスは自然消滅となるが、天才を集める天才がいなくなれば、求心力がなくなるのは必然。栄枯盛衰の理。

この展覧会は、そんな栄枯盛衰の中で、もっとも華やかだった時代の匂いを楽しむことができる。衣装には多少退色しているところもあるが、そのあたりを脳内で補正すれば、斬新なカットや大胆なデザインは当時のパリの雰囲気を彷彿とさせるに十分。

音声ガイドは熊川哲也。総合芸術なので、ラヴェルやストラヴィンンスキーがつけたバレエ音楽を聴きながら鑑賞するのが吉。ちょっと気取った感じの熊川哲也のナレーションも心地良い。レンタルを受けた人には、当時のチケットのレプリカが特典として付いてくる

他にも桜沢エリカのコミック「バレエ・リュス」のサンプル版がもらえたりとお得感のある展示。場所を取るので普段は購入を控えている図録も今回はあまりの内容の充実に買ってしまったが、まったく後悔はしていない。

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バレエ・リュス展は9月1日まで。