ドロシー@赤坂BLITZ「アイドル甲子園」

赤坂BLITZに「アイドル甲子園」を観に行った。11時開場のタイムテーブルの終盤は以下のような感じ。

20:05 妄想キャリブレーション
20:35 青山聖☆ハチャメチャハイスクール
21:05 Dorothy Little Happy
21:35 放課後プリンセス

ドロシーは最後から2番目。直前の妄想キャリブレーション、青山聖☆ハチャメチャハイスクールがかなり沸いていた。ドロシーはこの勢いに乗るか、それとも別の空気を生み出すのか。

紺のシスター風の清楚な衣裳で登場したドロシーの5人は、その瞬間から、全く別のオーラを纏っている。まずは、新曲「sky traveler」で心が洗われるような世界に、ステージの上を一変させる。それまで、リフトやらサークルやらで沸いていた観客席も聴き入るように静まり返る。

これで大人しくなってしまうかと思いきや、続けざまに「2 the sky」へ。こうみんのクールなラップに続き、冒頭からコールが入り、会場の温度がぐっと高まる。この雰囲気なら推しジャンできる!

MCで自己紹介の後、曲紹介があり、「skyつながり」という説明。ということは、次は「青い空」とか来ちゃうのか?とか思っていたら…

「STARTING OVER」へ。アイドル対バンイベントでこのバラードを聴かせるところが今のドロシーの自信の表れだと思う。麻里ちゃんの歌声が、静まり返った会場中に響き渡る。やっぱり「アイドル」というカテゴリに収まらない孤高の存在。

そして「恋をしてるのきっと」。意図としてはステージを観た人が「ドロシーに恋をする」ということを狙っているんだろうか。あ、いま、みものウィンクが飛んで来た気がする(笑)

暗転し、樹海の中で彷徨う「COLD BLUE」へ。普段明るいるうちゃんの表情がそこはかとなく「闇」を表現しているのが見える。目まぐるし表情を変えるドロシーの世界。

最後のMC。9月6日のZepp DiverCity TOKYOのワンマンライブの告知。自分は1階にいたけれども、2階の観客席にも絶え間なく目線を送り、言葉をかける姿はさすがだった。

時間はあっと言う間に経って、いよいよ最後の曲。今のドロシーの多面的な顔を束ねる「ストーリー」。ミュージカル風の振付け、サビの楽しい「連射指差し」。最高に楽しい。

しかし、ちょっと思ったのは、この楽しさというのは、僕がコアなドロシーのファンだからかもしれないということ。

確かに、ドロシーは登場した瞬間から直前の空気を一変させた。貫禄というか風格を感じさせる孤高の存在で、直前にリフトやサークルで湧いていた観客も、黙って聴きこむ世界をステージに作り上げた。

楽曲的には、今のドロシーの魅力を見せるには十分とも言えるセトリ。もちろん歌とダンスのパフォーマンスも申し分ない。いつものように。僕のようなコアなファンにはうれしい時間だった。

だが、この「アイドル甲子園」というイベントに来ている人の多数が期待している「ドロシー」のステージと、どこまで合っているのかはよくわからないと感じた。

ドロシーの前後のアーティストが「アイドルポップス」の文法を押さえた沸き曲を中心に据え、大いに盛り上がっていただけに、異なる空気を醸し出したドロシーのステージの個性は際立っていた。最後から2番目という順番で、ドロシーの独特の世界観を出したセトリは、一部の人からは流れに棹さすように映ったかもしれない。

もちろんドロシーの側から言えば、順番は自ら意思で選べないだろうし、前後のアーティストのカラーを読んで、セトリを変えるというのは、「ドロシーらしさを見せる」というドロシーのスタイルにはそぐわない。だから、今日のセトリこそ孤高を象徴するものなんだろう。

「一つ一つのライブを大事に」というドロシーの真摯な姿勢は素晴らしいし、今日のアイドル甲子園でも、何の小細工もせず直球勝負で「今の最高のドロシー」を見せてくれたことはファンとして全力で支持したい。ただ、「商売」という観点から見たときには、別の意見もあるかもしれない。

9/6のZepp DiverCityはドロシー史上最大のキャパ。多数の新規のファンが来ないと埋まらないだろうし、そのためには「ドロシーのライブって楽しい」「凄い」「面白い」という評判が必要。アイドル甲子園や@JAMやTIFではそういう評判を獲得したいところ。

ドロシーの世界を見せるのは9/6のZepp DiverCityのステージで良く、まずは、そこにたくさんの人を呼ぶべるかが勝負。たとえば、初見の人に対してもキャッチーな「デモサヨナラ」「諦めないで」「未来への虹」「恋は走りだした」あたりも入れていくと、Zepp DiverCity TOKYOに新規のファンを呼び込みやすくなるのではないかと思う。

以上、今日のアイドル甲子園の1階前方で終盤の各組のパフォーマンスを見て感じた。繰り返すけれども、ドロシーのパフォーマンスは自体は今日も素晴らしく、全力で魅力を伝えようとする姿勢は見事。だが、商売につなげるという戦略という観点からは別の考え方もあるのかなと思った。

…もしかしたら考え過ぎで、純粋に「ドロシーの世界」を楽しんだ方がいいのかもしれない。こっちが先日のツアー打ち上げのファンミーティングを引き摺っているのかもしれないな。

明日は、ソフマップでのイベント。リクエストライブもあるので楽しみ。

(セットリスト)

1.sky traveler
2.2 the sky
3.STARTING OVER
4.恋をしてるのきっと
5.COLD BLUE
6.ストーリー