『プリティ・リーグ』

『フラガール』の感想をネットで探していたときに、『プリティ・リーグ』との類似を指摘する意見があった。そのときから見たいと思っていた『プリティ・リーグ』をようやく観た。

一言で言えば、女性の社会進出を真面目に描いた作品。プロのアスリートであることとショービジネスであることの折り合いの付け方や、職業人として責任を持つことと家族を大切にすることのバランスの取り方が示される。

その中で、主人公である姉妹の確執と愛情が最も中心的なテーマ。「よく出来た姉」と比較される妹のコンプレックスがどのように昇華されるかというのが見どころ。

『フラガール』が参考にしたであろうシーンは、確かにいくつかあった。チームがいつも一緒にバスで移動するところや、観客から野次られるところや、夫の死亡の連絡を受けるところなど。しかし、決して「パクリ」と呼ばれるようなものではないと感じた。あれはあれで良い映画だし、これはこれで良い映画だ。

公開当時はマドンナの出演が話題になっていたが、あくまで彼女は印象に残る脇役であって、主演のジーナ・デイヴィスの存在感が圧倒的。強く美しい。そして、飲んだくれの監督を演じるトム・ハンクスがいい味。

それにしても、老人になってから「古き良き時代を回顧する」という作りが、アメリカ人は本当に好きだなと思わされる。きちんと意味があるから良いのだけれども。

一つ文句を言いたいのがタイトル。原題は"A League of Their Own"で、これを『プリティ・リーグ』としてしまうのは頂けない。監督のペニー・マーシャルは、『プリティ・ウーマン』の監督のゲイリー・マーシャルの妹だが、内容が全然違うわけで、柳の下の二匹目のドジョウにもならない。女性自立的な意味で"Their Own"なのだろうから(監督もその点は十分に意識しているだろう)。『彼女たちのリーグ』だと直訳過ぎるか。『とある女性の野球連盟』とか『俺の妹がこんなにスラッガーなわけがない』とか。いや、もっとダメか。