映画『桐島、部活やめるってよ』

ゴドーを待ちながら』のような作品だった。映画の『桐島、部活やめるってよ』では、皆が桐島のことを口にして、彼の姿を求めるが、結局のところ、最後まで姿を見せることはない。一瞬「あれ?」と思わせる場面はあるが、それも確信が得られるものではない。

ストーリーは、原作の小説を下敷きにしながらも、独自に膨らませたり、アレンジしたりしている部分が多かった。映画作品だけに、映画部の前田への肩入れは突出していたが、吹奏楽部の沢島の扱いも優遇されていたと思う。

役者としても、前田を演じた神木隆之介、沢島を演じた大後寿々花の演技力は突出していたが、真の主役ともいうべき菊池を演じた東出昌大の存在感が印象に残った。

小説が持つ高校生のキラキラした感じは、残念ながら映画では再現できていなかった。が、前田の頭の中で妄想しているゾンビ映画の場面には爆笑させられた。原作の持つ「リア充」的な雰囲気の代わりに、「こじらせ系」の要素が盛り込まれていて、どちらかというと「通好み」の作品。

余談ながらいまをときめく『あまちゃん』の出演者も多く、橋本愛東出昌大、落合モトキに加えて、松岡茉優もこれから登場するらしい。そういう点で昨年が「旬」の映画だとも言えるだろう。

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: Blu-ray