綾辻行人『Another(下)』

綾辻行人『Another』の文庫を読了。

クラスの関係者が一人づつ死んでいく怪異の謎解き編。ネタバレしない程度に感想を書いておく。

種明かしまで読むと、綾辻行人らしい「盲点を付いた」トリックが仕組まれていたことが分かる。そして、そのトリックは、あまりに綾辻行人的であるがゆえに、落ち着いて「ミスディレクション」を除外していけば、想定できてしまう範囲ではある。

ただし、これまでの作品であくまで理詰めで謎解きをしてきた著者の作風からすると、怪異という「超自然」の起きる法則を「合理的」に説明するというところはちょっと居心地の悪さを感じた。まあ『デスノート』なんかも、死神なんかの「理性を超えた存在」がいる世界で、「ノートの法則」に基づいてゲームを展開している。だから、『Another』のこの「超自然」と「合理的」の並存というのは、ターゲット層とする中高生の嗜好から逆算して設計したものなのだろうけど。っていうか、「最終的に解決していないということにならないか、これ」とも思った。まあ、これ以上はネタバレになるのでこの程度で。

さて、コミック化、アニメ化、映画化が進んでいる作品だが、この作品の場合、眼帯少女のメイの雰囲気が鍵になるだろう。コミック版の方はまあまあだが、「萌え」にシフトしたアニメ版のキャラデザインはやや疑問。もう少し儚げで気味の悪い方がいいのではないか。一方で、橋本愛をキャスティングに据えた実写版の方が期待が持てるかもしれない。

何となく「メディアミックス展開ありき」みたいな感じで、実際には人気でるのかなあ、という印象。