松田聖子デビュー30周年

去年はガンダム30周年だったが、今年は松田聖子30周年。

ご本人は今年に入って矢島美容室とコラボなどしたりして、相変わらず「心の旅人」状態。いつまでも精力的に活動する姿は立派だけど、本音を言えば、僕にとって松田聖子が輝いていたのは1980年〜85年の5年間。デビューしてから結婚するまで。で、その中でも音楽的に神がかっていたのは、1982年・1983年のわずか2年間。ランカ・リー中島愛)のように「キラッ☆」なんて歌わなくても、アイドルシンガーの女王のオーラを纏っていた。

この2年間にリリースされたアルバムは、「Pineapple(1982年5月21日)」、「Candy(1982年11月10日)」、「ユートピア(1983年6月1日)」、「Canary(1983年12月10日)」の4枚で、内容的にも「アイドル」の枠に収まらない幅と深さを持った名盤揃い。

シングルの方は、「赤いスイートピー(1982年1月21日)」、「渚のバルコニー(1982年4月21日)」、「小麦色のマーメイド(1982年7月21日)」、「野ばらのエチュード(1982年10月21日)」、「秘密の花園(1983年2月3日)」、「天国のキッス(1983年4月27日)」、「ガラスの林檎SWEET MEMORIES(1983年8月1日)」、「瞳はダイアモンド/蒼いフォトグラフ(1983年10月28日)」とこれまた名曲揃い。こうしてみると、いまさら僕なんかが言うまでもないが、やっぱり松本隆×呉田軽穂松任谷由実)のコンビこそが彼女の黄金期の立役者だった。

でも、個人的なベストソングは、松本×松任谷ではなく、シングル曲でもない。「Candy」所収の「真冬の恋人たち」(作詞: 松本隆 、作曲・編曲: 大村雅朗)こそマイ・フェイバリット。

イントロからして、張り詰めた氷の鏡の雰囲気。Aメロはアコースティック・ピアノのストロークの伴奏。9度(add9)のコードを多用したデリケートな響き。松本隆のロマンティックな歌詞。そして多義的な杉真理の男声コーラス(これが入る時点でアイドルソングの範疇を超えている)。同じ大村雅朗の手による「SWEET MEMORIES」も知名度の高い名曲だが、「真冬の恋人たち」の方が実はSWEETだと思う。松田聖子のボーカルもよくコントロールされていて、子音のニュアンス一つをとっても情緒あふれている。そして聴き終わった後に残る何ともいえない幸福感。まるで古くならない傑作。

シングルから選ぶなら「瞳はダイアモンド/蒼いフォトグラフ(1983年10月28日)」の最強カップリングこそ一つの到達点。でも、シングル曲以外に名曲が多いのが松田聖子の特徴。ということで、松田聖子黄金時代の名曲をほぼ網羅しているベストアルバム「Seiko Box」について、近いうちにエントリしたい(25年前に発売されたCDだけど)。

Seiko Box/大全集

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