結局勧善懲悪なのか〜仮面ライダードラゴンナイト(6話まで)

「Henshin!」ではなく「Kamen Rider!」の掛け声で変身する仮面ライダードラゴンナイト。

公式サイト:仮面ライダードラゴンナイトファンブログ

これまでに出てきたライダーは、ドラゴンナイト(龍騎)、ウイングナイト(ナイト)、インサイザー(シザース)、トルク(ゾルダ)の4人。だが、この段階でこのライダーバトルの首謀者が既に明らかになっている。それは、レンの故郷・ベンタラを征服したゼイビアックス将軍。悪の異星人。あーあ、この時点でこれは龍騎ではない何かだ。アメリカ人向けにアレンジされた勧善懲悪ヒーロー物だ。

思うに、原作の『仮面ライダー龍騎』はポスト911そのものだ。放映開始はアメリカ同時多発テロ事件から約半年後。龍騎は「正義のために戦うというのは本当に正しいのか?」という、ヒーロー物としては異例の問いが根底を貫いた作品であった。主人公は、相手に勝とうとするのではなく、戦うこと自体を止めようと最後まで奔走する。ときに「バカ」と嘲笑されたり、誰かに利用されそうになったりしながらも。TV版のエンディングでは、最終話を待たずに命を落としてしまうが、その愚直な姿こそが結局は戦いを止めるのだ。

しかし、ドラゴンナイトでは、主人公は友を得て強くなっていく。父の姿を探し求めて敵に肉薄していく。そして地球を征服せんとする悪いやつは、いろいろなライダーを操って主人公を苦しめる。これは13人のライダーによるバトルではない。「悪いライダー」と「いいライダー」の戦いだ。そして正義は勝つのだろう、間違いなく。ポスト911どころか、ポスト・リーマンショックのアメリカでも、やはりこのようなストーリーになってしまうのがアメリカなのか、と妙に感心してしまう。

これはもう、杉田智和の語りを楽しみにするしかないな。Kamen Rider!