『グイン・サーガ』は未完とすべし〜栗本薫死去

とにかく多才な人だったが、僕にとっては、和製クトゥルー神話の『魔界水滸伝』の作者という顔が一番印象的だった。あの永井豪によるスケールの大きな挿絵とともに、異次元まで広げられた風呂敷の行く先を見極めようと、新しい単行本の出るのを待ち望んだ日々! 結局、風呂敷はきちんとたたまれることはなかったけれど、伝奇小説の創造力というか、語り部としての情熱をまざまざと見せ付けられた。
代表作はもちろんライフワークとなった『グイン・サーガ』の方だ。「がん」という生命力を蝕んでいく病に冒されて早すぎる他界となったことは本当に残念。だが、誰かが書き継いで完結させるなんていうことをしない方が、かえってこの作品の壮大さを際立たせ、永遠に輝きを放つ存在にするのではないか。

GUIN SAGA

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作家、栗本薫さんが死去

ミステリーや時代小説などで知られた作家の栗本薫(くりもと・かおる、本名・今岡純代=いまおか・すみよ)さんが26日午後7時18分、膵臓がんのため東京都内の病院で死去した。56歳。通夜は29日午後6時、葬儀・告別式は30日午前11時、東京都目黒区下目黒3の19の1、五百羅漢寺の羅漢会館で近親者のみの密葬で行い、後日お別れの会を予定している。喪主は夫、今岡清(いまおか・きよし)氏。

評論家として中島梓(なかじま・あずさ)の名前でも活躍した。

平成19年に膵臓がんがわかり、闘病していた。

栗本さんは昭和28年、東京都葛飾区生まれ。早大文学部卒。51年に「都筑道夫の生活と推理」で第2回幻影城新人賞評論部門佳作。

52年、中島梓のペンネームで「文学の輪郭」という評論で「群像」新人賞(評論部門)を受賞し、文芸評論家としてデビューした。

53年には「栗本薫」名の「ぼくらの時代」で第24回江戸川乱歩賞を受賞。

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