三菱UFJはそれでもモルガンスタンレーに出資するか

相手先の株価が下落しても、合意した条件で出資をするのか。経済合理性とビジネス倫理は必ずしも相反するものではないが、この局面ではトレードオフの関係が成立していることは間違いない。経営判断として、両者の間のどこが最適だと示すのか。3連休中もマーケットから目が離せない。

止まらないMスタンレーの株価下落、三菱UFJは損失計上の危機に

 [東京 10日 ロイター] 米銀大手モルガン・スタンレーの株価下落が止まらない。「三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306、株価 - チャート - 企業概要>が出資を取り消すのではないか」との懸念が金融市場に根強く残るためだ。

 Mスタンレーと三菱UFJは打ち消しに必死だが、株価下落により、三菱UFJは払い込んだ瞬間に減損による損失計上を余儀なくされる可能性も出てきた。 

 Mスタンレーの株価は9日、終値で前日比25.89%安の12.45ドルまで下落した。三菱UFJが90億ドルの出資計画を取りやめるとの懸念が背景だ。

 9月29日に発表した増資計画によると、三菱UFJが取得する株式の内訳は普通株が30億ドル、優先株が60億ドル。普通株の引き受け価格は1株25.25ドルとなっており、9日の株価はこの価格の半値を割り込んだ。このままの水準で株価が推移してしまえば、三菱は払い込んだ瞬間に減損処理に直面し、15億ドル(約1500億円)の損失計上を余儀なくされる。「このまま増資を強行すれば、三菱UFJの経営陣は株主代表訴訟のターゲットになってしまうのではないか」(欧州系外銀幹部)との見方も出ている。 

 一方、増資の3分の2を占める優先株は「オプションバリューを付与するなどしたため、減損ポイントは相当に低い」(三菱UFJの平野信行取締役)としており、半値でも減損は生じないとみられる。

 両社は14日の払い込みを発表しているが、実際のところ土壇場で三菱UFJが増資を撤回する可能性はあるか――。

 金融関係者の間では「さすがにこの期に及んで撤回はできない」との見方が一般的だ。Mスタンレーの財務状況は「薄氷を踏んでいる状態」との分析もあり、「三菱UFJの増資がなければ、極めて厳しい状況に追い込まれる」(大手銀行幹部)からだ。金融システム不安が継続している状態での出資見送りは、Mスタンレーだけでなく、世界の金融システムへの影響も避けられない。別の大手銀関係者は「出資条件を変更する可能性はあるのではないか」と話す。 

 三菱UFJとMスタンレーの広報担当者は「14日に払い込みをする計画に何も変更はない」と発言している。 

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