今日のハヤカワ文庫さん(8作品目)

早川書房の「SF&ファンタジイ・フェア」(関連:2008-06-23 - coco's bloblog - Horror & SF)シリーズ2巡目。

今回は文学好き岩波さんおすすめの『ドゥームズデイ・ブック』。ネビュラ賞ヒューゴー賞を始め、名だたる賞を総舐めにした作品。解説・恩田陸

ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)


ドゥームズデイ・ブック〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ドゥームズデイ・ブック〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

文庫本上下合計で1000ページを超えるボリュームに圧倒されつつ読み始める。内容は、タイムトラベルが可能になった21世紀。中世研究を行う主人公の女性が14世紀の過去に遡るところから始まる。当時の服装、疾病対策、自動翻訳機、すべて準備万端整って出発したはずなのだが、何かがおかしい。

ストーリーは、14世紀と21世紀を行き来しながら、それぞれの時代でヒューマンドラマが繰り広げられる。そして、クライマックスに至るところで両者が繋がり、エンディングを迎える。バッドエンドのようでもあるし、ハッピーエンドのようでもある。だが、人間が生きるというのはそういうものだろう。

全体的には佳作というところか。時代考証もきちんとされているようだし、何より舞台がオックスフォードだし、歴史コンプレックスのある合衆国のインテリに評価されたのが受賞の要因だろうなとやや醒めた感じで読み終えた。主人公の女性のやや強気で独りよがりな感じに最後まで感情移入できなかった。ジェンダー的にどうこう言うつもりまではないが、こういう強い女性を主人公にするのも、著者の趣味であるのに加え、周到なマーケティングの結果のような気もする。総じてハリウッド映画のシナリオのような匂いが漂うのも肌に合わなかった。ということで★★☆☆☆

蛇足:上下巻とも表紙に第3使徒サキエルがいるよ…

  • 早川さんのおすすめ

★★★★☆決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)(レビュー=id:SHARP:20080715)
★★☆☆☆火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)(レビュー=id:SHARP:20080703)

  • 帆掛さんのおすすめ

★★★☆☆きみの血を (ハヤカワ文庫NV)(レビュー=id:SHARP:20080717)
★★★☆☆ローズマリーの赤ちゃん (ハヤカワ文庫 NV 6)(レビュー=id:SHARP:20080708)

  • 岩波さんのおすすめ

★★☆☆☆ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) ドゥームズデイ・ブック〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)(レビュー=id:SHARP:20080727)
★★★★☆砂漠の惑星 (ハヤカワ文庫 SF 273)(レビュー=id:SHARP:20080523)

  • 国生さんのおすすめ

★★★★★祈りの海 (ハヤカワ文庫SF)(レビュー=id:SHARP:20080714)

  • 富士見さんのおすすめ(一回戦で脱落)

★☆☆☆☆たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)(レビュー=id:SHARP:20080707)