過剰サービスな浴室の美女

『浴室の美女』は、江戸川乱歩の『魔術師』を土曜ワイド劇場向けに翻案したもの。このシリーズでは、すべての作品が『〜の美女』というタイトルに翻案され、天知茂*1が名探偵・明智小五郎を演じている。今回、行きつけのTSUTAYAで、このシリーズのDVDが揃っているのを見つけた。

江戸川乱歩フリークにとっては、たとえ翻案であっても、原作の設定を踏まえた映像が堪能できるのはうれしいことだ。猟奇的な殺人事件、謎めいた脅迫状、そして奇想天外なトリック。もちろん、2時間ドラマ特有の無意味なお色気も。でも、何よりも凄いのは、天知茂の眉間にシワを寄せた「怪演」だろう。大真面目なのに、とてつもなく可笑しい。犯人の裏を書くために巧妙に変装しているはずなのに、すごく不自然でバレバレ。そこ笑うところじゃないのに。

それにしても、『魔術師』の原作に浴室の場面なんかあったかな。隅田川の「獄門舟」とか、菊人形とか、時計台の覗き窓とか、地下室の映写機とか、そういうのは鮮明に覚えているのだけど。なぜ、浴室…? そのシャワーシーンに必然性はあるのか? サービス、サービスってことで割り切れということなのか? わからん。まあ、いいけど。


*1:初稿時の誤表記「天地茂」を「天知茂」にこっそり訂正。天知センセイすみません… ちなみに、読み方は「てんち しげる」じゃなくて「あまち しげる」