北米での最古の部類に入るアレクサンドラ劇場でミュージカル「COME FROM AWAY」を鑑賞した。
当地ではいま人気のミュージカルで、ソールドアウト寸前の最後の一席を押さえた。
舞台は911テロの北米。
38機の飛行機がアメリカに行けず、カナダの小さな町に緊急着陸。
そこに降りた7000人の乗客が人種・性別・宗教・世代を越えて相互理解を深めていく姿を肯定的に描く。
12人の役者が衣装や小道具を変えながら1人何役もをテンポよく演じ分け、7人のバンドが場面を盛り上げる1幕100分の作品。
舞台装置はシンプルで、強く印象に残る音楽も少なく、人物造形もやや類型的で、説明的なセリフが多め。
エンターテイメントというよりもどこか美談めいた感じのミュージカルだったが、911後のアメリカで謳われた「連帯」や、カナダで支持されている「多様性」「共存」といった価値観を前面に出した物語は見る人たちの支持を獲得している様子。
皮肉の効いたジョークにどっと笑いが起きるあたり、いわゆる「インテリ」層が好きなんだろうなと思わされた。
おそらくは北米以外ではそれほど支持される作品ではないだろうが、当地での911の受け止めの一つとして象徴的な公演のように思う。