大森靖子 SPECIAL LIVE in 代官山蔦屋書店

「希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない。最期まで笑顔でいて欲しい。それを邪魔するルールなんて、壊して見せる。変えて見せる」
(「魔法少女まどか☆マギカ」12話)

大森靖子の「絶対少女」を代官山蔦谷書店で買い、イベント会場のガーデンギャラリーに向かった。19時開場、19時30分開演予定。

19時の開場と同時に客席に入り込んだ大勢のファン。大森靖子はその姿を目の当りにして、控室に引っ込むことはせず、スタッフの二宮ユーキとのトークショーを始めた。どれだけファン思いなアーティストなのか。

19時30分。大森靖子はギター一本もって演奏を始める。PCもない。バックトラックもない。機材はマイクとアンプだけ。

文字通りギターの弾き語りが始まる。まるでストリートライブのように。だが、このギャラリーには大森靖子と彼女のファンしかいない。高い天井は音響を反射させ、歌とギターが浮かび上がるようだ。

その響きを聞きながら、曲想に微妙なニュアンスを付け加える大森靖子。マイクに近付いたり離れたり。ギターのストロークを強くしたり弱くしたり。

観客を圧倒するステージ。手拍子の入る余地もない。雑誌のインタビューもMCも苦手な彼女はこういう。「いつも歌だけは残る」と。

一見過激に聞える歌詞も決してこけおどしではない。彼女は闘っているのだ。誰のために? 恐らくは、全ての少女のために。そこには壊して見せる、あるいは、変えて見せるという強固な意志がある。これが大森靖子の強さだ。恐らくは、弱さを克服した末に獲得した強さだろう。

彼女に救世主になる気があるのかどうかは分からない。だが、その資質は十分にある。ライブ終了後の2ショット撮影会が終わった後、僕に嬉しい言葉をかけてくれた。ささやかな言葉のようだが、ずっと幸せな気持ちでいる。きっと全ての少女を笑顔でいさせ続ける力が、大森靖子にはある。救世主かもしれない。

絶対少女

絶対少女