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松たか子『ジェーン・エア』初日

演劇

原作=シャーロット・ブロンテ、脚本・作詞・演出=ジョン・ケアード、主演=松たか子とあっては観に行かない手はない。

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松たか子はミュージカルでシングルキャストで主演を張るのは初だが、演技・歌唱ともに素晴らしかった。意思が強く、既存の価値観にとらわれないジェーンは、まさにはまり役だった。ストイックなモノトーンに包まれ、華美なアクセサリーを身に纏わない姿でも、ひときわ輝いていた。台詞を口にするとホール全体が彼女の支配下に置かれるくらい張り詰めるのに、歌っているときにはどこか癒されるような雰囲気になるのが、ミュージカル俳優としての彼女の持ち味ということになるのだろう。以前から歌でも芝居でも才能は折り紙つきだが、両者を融合したミュージカルの舞台で主役を演じることで、表現の幅がさらに広がったことを見せ付けたと思う。

相手方の橋本さとしも絶妙。どこか陰があって悪ぶってはいるけれどもとても純真なロチェスターは、もうこの人以外には考えられないというくらいのマッチング。歌の表現力も素晴らしく、ソロでも、松たか子との掛け合いでも、魅了された。

ジョン・ケアードの演出は、この作品にイギリス風の陰影を持たせつつも、ブロードウェイとは異なる日本独自の雰囲気を作り出そうとしている意図が窺えた。第一幕がやや説明的に淡々と進行するのに対して、第二幕が激しく展開していくのは、演出上の対比を明確にしているのだろうが、第一幕はもうちょっと起伏があってもよかったかもしれない。表面的に流れていきがちなところを、子役の天才的な演技に救われている感があった(この日はジェーン子役は佐藤瑠花、アデールは加藤ゆらら)。

音楽=ポール・ゴードン。楽曲は全体的にいぶし銀なテイストであった。これも英国的な美意識との調和を狙ったのなのだろうが、もう少しあざとさというか、ドラマティックな感じがあってもよいと思う。つい口ずさんでしまうようなキャッチーな歌があれば、家に帰ってからの余韻がもう少し味わい深くなったかもしれない。

結論として、これは見ておくべき作品だ。とりわけイギリス文学好きにはお勧め。松たか子好きにはもちろんお勧め。