『レ・ミゼラブル』(東宝)@帝国劇場

久しぶりに『レ・ミゼラブル』を観に帝劇へ。

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平日のソワレとあって、客層は学生が多め。保護者の一緒の小中学生もいれば、制服の高校生もという感じ。

そして今日はキャスティングも若い。

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ジャン・バルジャン佐藤隆紀、ジャベールに上原理生。

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生気みなぎるこの二人のぶつかり合いは、豪速球を投げ合って譲らない野球の決勝戦のような緊張感。

佐藤バルジャンは高音の繊細さが聴かせどころだし、上原ジャベールはソロでも揺るがぬ強さを見せつける。

物語を推進させる好敵手の二人の掛け合いが素晴らしい。

哀しみを湛えた二宮愛のファンテーヌ、清らかさを体現した熊谷彩春のコゼット、正義に殉ずる覚悟を説得力のある演技で見せつける小野田龍之介のアンジョルラス、純粋さの中に愛嬌をも覗かせる三浦宏規のマリウスも個性を感じさせる演技だったが、中でも唯月ふうかのエポニーヌの演技が圧巻だった。ソロ曲の中に彼女の信念、生き様を感じさせられた。

そして、テナルディエ夫妻の駒田一、森公美子はロングランキャストならではの安心感のある演技で、テナルディエの「憎めなさ」を醸し出せる駒田、マダム・テナルディエの「強さ」をパワフルに魅せ、聴かせる森の演技は、本当に飽きるということがない。

子役では、ガブローシュを演じた井伊巧の気丈さ、リトル・コゼットを演じた加賀見陽の愛くるしさが強く印象に残った。この日リトル・エポニーヌだった絢田祐生も立ち姿が可憐で、リトル・コゼットを演じているときにセリフや歌をぜひじっくりと鑑賞してみたくなった。

最近のミュージカル公演では、コスト面で録音音源を使っているところも増えてきたが、この『レ・ミゼラブル』は当然のように生オケ。

音圧の違いもさることながら、演者の演技・歌唱に合わせて、オーケストラのテンポを微妙にコントロールしているのがわかる。これこそ「生」の醍醐味。

劇場の観客からの拍手の「間」も絶妙に取られていて、「これだよこれ」となった。

このミュージカルのハイライトは、第一幕最後の「ワン・デイ・モア」だと思うのだが、アンサンブルの一人一人に至るまでパワーがものすごく、ここまでのものは東京ではなかなか味わえないもの。

カーテンコールもドラマティックで、また別の日に別のキャストで観に行けたらいいなとなった。


(おまけ)

この日の夕食は、劇場地下の神田きくかわへ。

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昨年から断続的に続く緊急事態宣言で閉店する店が多い中、変わらぬ味を提供してくれていることに改めて感謝。